DNSの解説にしばしば登場する「ゾーン」と「委任」と「権威」という要素が何を意味し、どんな関係にあるかを説明する。
DNSにおける「ゾーン」とは、ドメイン名のツリー構造の一部を構成する単位である。また、特定のゾーンについてドメイン名に関する正当な情報を持ち、管理できる状態にあることを「権威を持つ」と呼ぶ。ゾーンに対して権威を持つと、新たな名前を追加したり、子のドメイン(サブドメイン)を作成したりできる。さらに、ゾーンの一部の管理を分割して、他の管理者に任せることができる。これを「委任」と呼ぶ。
例として、JPドメインにおける「ゾーン」と「委任」と「権威」の関係を図1に示す。点と直線がドメイン名のツリー構造を示し、曲線の囲み線がゾーンの範囲、塗りつぶし面がドメインを示す。「jprs.jp」ゾーンに対して権威を持つ管理者は、「jp」ゾーンの管理者から「jprs.jp」ゾーンの管理の「委任」を受けており、「www.jprs.jp」という名前を追加したり、サブドメイン「def.jprs.jp」を追加したりできる。さらに、「jprs.jp」ゾーンの一部である「abc.jprs.jp」ゾーンの管理を、他の管理者に委任することができる。
所属:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) システム部
2004年にJPRS入社。レジストリシステムの開発・保守から、レジストリデータベース、WHOISシステムの管理運用まで幅広い業務にたずさわる。現在は、WHOIS代替プロトコルのプロトタイプ開発、WHOISにおける国際化登録データの要件定義および、データのモデル化の検討などに従事。2009年から2013年にかけてDNSソフトウエアである「BIND 10(現Bundy)」の開発プロジェクトに開発者として参加。
著書・執筆:2009年〜2010年「月刊ASCII.technologies」(アスキーメディアワークス)の連載記事「正しく学ぶDNS」の一部執筆を担当。
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