国内大手PCベンダー3社が事業統合する計画と報道。実現すれば国内トップベンダーとなる。
富士通、東芝、VAIOの3社がPC事業を統合し、2016年4月をめどに新たな連合体制を築く計画があることが分かった。2015年12月4日付の日本経済新聞などが伝えた。
2014年の国内PCメーカー出荷台数シェアは、NECレノボ・ジャパングループが26.3%(約404万台)でトップ。富士通は18.8%(約289万台)で2位、東芝は12.2%(約187万台)で3位(VAIOはソニー時代の出荷台数を下回り、シェア1.7%以下の圏外)。3社連合が実現すれば国内シェア30%強と、現在シェアトップのNECレノボ・ジャパングループを抜く。
IDC Japan調査によると、国内PCの2014年出荷台数は約1539万台。PC市場は、インターネット利用環境や利用シーンの変化、スマートデバイスの普及などに伴い、前年比1.5%減。特に2014年第4四半期は前年同期比32.5%減のマイナス成長となり、市場は縮小傾向にある。事業の生き残りをかけた再編の動きが続いている。
VAIOはソニーのPC事業部門が独立し、2014年7月に誕生した企業。2015年12月現在、国内PCシェアトップのNECレノボ・ジャパングループは、2011年7月に国内シェアトップだったNECの個人PC事業部門と、グローバルシェアトップの中レノボの連合。東芝は2015年6月に発覚した不正会計を受けその温床の一つとなっていたPC事業において、再編や売却を含めたリストラ策を進めている。富士通は2016年春を目標にPCと携帯電話事業の分社化を計画。なお、PCより早くコモディティ化が進んだ携帯電話事業は、東芝の携帯電話事業を既に統合している。
新聞報道を受け、富士通と東芝が出したコメントは以下の通り。
「当社は10月29日、パソコン事業を分社化する旨、発表いたしました。分社化後の事業成長に向け、さまざまな可能性を検討しておりますが、決定しているものはありません」(富士通)
「現在、パソコン事業についても制約を設けることなく、事業体制のさらなる効率化や、他社との事業再編も含めさまざまな可能性を検討しておりますが、個別企業と具体的に合意した事項はありません」(東芝)
業務マシン、端末としてのエンジニアやプログラマーへの影響はどうか。例えば、キーボードは打ちやすいか、高解像度か、開発環境が動くか、仮想マシン動作も含めたパフォーマンス、機動性などが選定要件に挙がる。
出荷台数は少ないが、クリエイティブユースに特化して一定のファンがいるメーカーの製品などでは、連合によって部品を共同調達することで、コスト削減効果が得られるようになるといったメリットが考えられる。
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