トヨタ自動車が車載通信機のグローバル共通化推進を発表。併せて、UIEvolution、フォードらとの共同開発を発表した。「IT化の進展など、変化する環境を踏まえ、『つながる』技術を通じ『もっといいクルマづくり』を更に推し進めていく」としている。
トヨタ自動車(以下、トヨタ)が、「トヨタ・ビッグデータ・センター(TBDC)」を構築、現在運用している「トヨタ・スマート・センター」内に配置する。車両情報を本格的に活用する目的で、通信機器の共通化や、ソフトウェア開発企業などとも業務提携を行っていく。
2017年以降に米国内で販売するモデルにおいて、車載通信機(Data Communication Module:DCM)の搭載率を高めていく計画。車両データの送信を行うDCMの搭載率を高めることで、「これまで以上に収集データを製品開発やアフターサービスに活用していく」としている。
DCM搭載車両では、エアバックの展開と連動した緊急通報システムを標準で設定、事故発生時の初期対応の迅速化も図っていくという。
トヨタでは、国や地域ごとに仕様が異なっているDCMを2019年までにグローバルで共通化し、順次切り替えを行っていくという。将来的には、「トヨタ・スマート・センター」が、このグローバル共通のDCM通信を集約管理する機能を担うという。
トヨタでは、DCMの共通化とデータの集中管理、通信の集約管理に加え、コネクテッドカーを操作するスマホアプリの開発も推進する。今回業務提携を発表した米UIEvolutionとは、共同で車載システムに実装する標準ミドルウェアを開発するとしている。車両データを用いたスマホアプリ開発に加え、トヨタが認証した外部のサービス事業者らに提供することも視野に入れているという。
UIEvolutionは、以前、マイクロソフトのチーフアーキテクトとして「Windows 95」や「Internet Explorer」などの開発を指揮したことでも知られる中島聡氏がファウンダを務める企業。車両向けのWebベースのアプリケーション開発フレームワーク「UIEngine for Automotive」などを提供している。また、米UIEvolutionは、2015年末にトヨタらが出資する「未来創世ファンド」からの500万ドルの資金調達を発表している。
車両から送られてくる情報のセキュリティ対策や個人情報の保護をトヨタ側が一括で管理しながら、安全なデータをAPIを介して広く利活用できるような環境を整備しているものと思われる。
なお、同日、コネクテッドカー向けの共通Linuxベースソフトウェアスタックを開発する「Automotive Grade Linux(AGL)プロジェクトが、自動車業界向けに開発された新しいAGLユニファイドコードベース(Unified Code Base:UCB)を発表している。同プロジェクトには、トヨタの他、アイシン・エイ・ダブリュ、デンソー、富士通テン、パナソニック、パイオニア、ルネサス エレクトロニクスなどが参加している。
さらに、トヨタでは、フォードおよびその子会社が開発を進める「スマートデバイスリンク(SDL)」の展開で協力、共同で仕様開発・運営を行う枠組みを構築することで合意している。SDLを採用する自動車会社が増えれば、アプリ開発者はSDLを用いて、複数社の車載システムと互換性のあるアプリを一度に開発できるため、短期間でより多くのアプリを提供できるようになるという。
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