米Visaは2016年2月4日(米国時間)、同社の提供する各種サービスをアプリケーションから直接利用できるAPIを包括的に提供する開発者向けプログラム、「VISA Developer」を提供開始した。
クレジットカード/デビットカードを中心とした決済ネットワークサービスを展開する米Visaは2016年2月4日(米国時間)、同社の提供する各種サービスをアプリケーションから直接利用できるAPIを包括的に提供する開発者向けプログラム、「VISA Developer」を提供開始した。
Visa CEOのチャーリー・シャーフ(Charlie Sharf)氏は発表イベントで、「当社のプラットフォームを開かれたものにすることで、数え切れないほどの数の開発者に、スキルや創造性、知恵を生かしてもらうことができる」と話した。同氏はまた、「大小さまざまな金融機関、マーチャント(店舗)、テクノロジー企業の開発者が当社の決済機能にアクセスし、自らが作り上げようとしている新たなデジタルコマース体験に組み込める。これは、当社機能の新たなディストリビューションチャネルだともいえる」と話している。
Visaは同日、VISA Developerのポータルサイトを立ち上げた。同社はここで155のREST APIを提供開始したという。開発者はこれらを、単一の認証のもとに、組み合わせて活用できる。提供APIは今後さらに拡大するとしている。同サイトには、APIに加えてドキュメント、レファレンスアプリケーション、統合テストのためのサンドボックス、サンプルデータなどが用意されている。
提供APIには、例えばVISA Checkout、Visa Token Service、Mobile Location Confirmationがある。VISA Checkoutとは、オンラインストアなどでの購入に際して、消費者がクレジットカード情報および送付先住所をいちいち入力しなくて済むようにするサービス。対応ショップのいずれにおいて購入する場合も、VISA Checkoutのアカウント認証のみで、決済が終わる。Visa Token Serviceは、文字通り16桁のクレジットカード番号をトークンに差し替えるサービス。ユーザーは、いったんマーチャントあるいはウォレットに登録しておけば、その後はこれらを利用する場合にクレジットカード番号を入力する必要がなくなる。クレジットカード番号を逐一入力する必要がないので、セキュリティと利便性が向上するという。また、Mobile Location Confirmationは、登録した携帯電話が、ユーザーの支払いを受け付けようとしているマーチャントに十分近いところにあるのかをチェック、これによって決済の真正性を担保しようとする機能。
Visaの発表イベントにVISA Developerの先行ユーザー企業として参加した、スタジアムなどのためのデジタルソリューションを提供するNextVenueは、スタジアム内にいる観客が、モバイルアプリでビールを注文すれば、平均6分以内に座席へ配達できる機能などを提供している。同社では、スタジアムで飲食物を注文できるモバイルアプリでVISA Checkoutを活用している。同社は、さまざまな決済ゲートウェイや決済処理事業者に逐一対応する必要なく、クレジットカード決済プロセスを簡略化できる点を、利点として挙げている。
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