Dockerは、Docker環境を簡単に構築できる「Docker for Mac」「Docker for Windows」のβ版の限定配布を開始した。
米Dockerは2016年3月24日(米国時間)、「Docker for Mac」と「Docker for Windows」のβ版の限定配布を開始したと公式ブログで発表した。それぞれMac、Windowsでアプリケーションを構築、配布するための統合環境で、Dockerによると、Docker環境を簡単に構築するための既存ツール「Docker Toolbox」と比べて大幅に改良されているという。
従来、MacやWindowsでDockerを使用するには、「VirtualBox」などで構築した仮想化環境上で64ビット版Linuxを動作させ、その上でDockerエンジン(Dockerコンテナの実行モジュール)を実行しなければならなかった。Docker for MacとDocker for Windowsの最大の特徴は、Linux環境を必要としない点にある。
Docker for MacやDocker for Windowsでは、OS Xのxhyve Virtual MachineあるいはWindowsのHyper-V上で動作するLinuxディストリビューション「Alpine」の中でDockerエンジンを実行する。このため、従来の方法と比較してDocker環境がより高速になり、信頼性も向上するという。
また、Docker for MacはMacアプリケーション、Docker for WindowsはWindowsアプリケーションであり、ネイティブなユーザーインタフェースと自動更新機能を備えている。いずれもDockerコマンドライン、Docker Compose、Docker NotaryコマンドラインといったDockerツールセットがバンドルされている。
さらに、ボリュームをマウントすることで、“インコンテナ”開発の編集/テストサイクルが可能な他、Docker for Mac、Docker for Windowsともにコンテナ用DNS(Domain Name System)サーバを搭載しており、OS XおよびWindowsのネットワークシステムに統合できる。
Docker for MacとDocker for Windowsを利用するにはプライベートβプログラムに申し込む必要がある。Dockerでは、今後、β版の配布対象者を段階的に増やしていくとしている。
Dockerによると、現在はDocker for Macの方がDocker for Windowsよりも開発が進んでいるが、両者は最終的には同じ機能を提供するようになるという。なお、Docker for Windowsは現時点では、Hyper-VをサポートするWindows 10にのみ対応している。
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