Raghuram氏は、EVO SDDCについても、EVO:RAILと同様な展開を進めつつあると話す。
「EVO SDDCで重要なのはEVO SDDC Managerだ。これはインストール、構成、パッチ、アップデートなどの管理機能を果たす存在だ。私たちは、これをスタンドアロンのソフトウェアとして、OEMパートナーに提供することを考えている。ハードウェアベンダーは、vSphere、VSAN、VMware NSX、EVO SDDC Managerをバンドルとして提供するとともに、自社ならではの差別化を加えることができる。(スマートフォンの世界でいえば)Androidのようなアプローチだ」
EVO SDDC Managerは多様なサーバ・ハードウェアへの対応がしやすくなり、これによって2017年にかけ、EVO SDDCを提供するパートナーは増えるだろうとRaghuram氏は話す。
「EVO SDDC Managerでは、これまでソフトウェア管理とハードウェア管理を一体として提供してきた。このため当社は、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のようにハードウェア管理ツールを持っているベンダーと衝突する部分があった。『私たちのハードウェア管理機能を代わりに使ってくれ』と言ってきたからだ。これは、HPEのハードウェア管理機能を活用している顧客にとっても混乱を招きやすかった。
そこで、ハードウェア管理ソフトウェアについては、インテルとの協力により、オープンソース化を進めている。これにより、HPEのような企業は、(オープンソース化したハードウェア管理ツールと)同一のAPIを通じて、自社のハードウェア管理機能をEVO SDDCと連携させ、自社のソリューションを完全にカスタマイズできるようになる。こうしたアプローチは、パートナーにとっても顧客にとっても歓迎されると信じている」
EVO SDDCのハードウェアプロビジョニング機能は、データセンタースイッチも対象に含んでいる。これについてもRaghuram氏は、あくまでも選択肢として提供するという。一方で、米Cumulus NetworksのネットワークOS、および米シスコシステムズのNexus 3000シリーズなどに対応、米アリスタネットワークスのスイッチのサポートも進めていると話す。EVO SDDCは、ネットワークについてはVMware NSXの利用が必須だ。これについては「シスコであっても、交渉の余地はない」と同氏は言い切っている。
ヴイエムウェアのハイパーコンバージドインフラへの取り組みは、うまくいっていないのか。EVO:RAILのような分かりやすい「形」がなくなったことは確かだ。だが、同社に言わせれば、できるだけ多くのハードウェアベンダーが、自社のハードウェアと運用を統合できるような形で、vSphere、VSAN、NSXが一体となったSoftware Defined Data Centerソフトウェアを市場に提供してくれればいい。目には見えにくくなってきても、クラウドのように運用できる統合環境製品が提供できれば、目的を達成することになる。
ソフトウェアストレージを搭載したソフトウェア/ハードウェア一体型製品というだけでは、少なくともヴイエムウェアにとっては十分ではない。一般企業が、パブリッククラウドのように自社のITインフラを運用できるようにすることで、パブリッククラウドと比較したオンプレミスのITインフラの価値を高めること、そしてこれに基づき、パブリッククラウドとも柔軟に連携できるハイブリッドクラウドのための基盤をオンプレミスで提供できることが、同社にとって最も重要であり、これが同社にとってのハイパーコンバージドインフラだと表現できる。ニュータニックスの目指していることも、ヴイエムウェアが取り組んできたことと重なる部分が少なくない。
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