シスコシステムズ日本法人は、2016年10月12日に、同社の2017年度における事業戦略を発表し、この中で広義のソリューション提供活動を強化していくことを強調した。具体的にはどう進めようとしているのだろうか。
シスコシステムズ日本法人は、2016年10月12日に、同社の2017年度における事業戦略を発表し、この中で広義のソリューション提供活動を強化していくことを強調した。ネットワーク製品以外の分野の比率を高めるとともに、ソフトウェアおよびサービスに力を入れる。複数の製品やサービスを組み合わせた統合ソリューションを推進する。また、顧客のデジタルビジネス支援を強化していく、という。
社長の鈴木みゆき氏は、新年度事業戦略の3本柱として、「日本市場により根ざした事業展開」「お客様のデジタルビジネス支援」「統合ソリューションビジネスの強化」を挙げた。昨年度と根本的な変化はないが、昨年度の実績を踏まえ、それぞれを深耕していくという。これら全てに関わるのが、「ソリューション提供」という側面だ。
では、ビジネス領域を広げてきているものの、必ずしもアプリケーションに至るまで、顧客のデジタル化を支える全ての構成要素を提供しているわけではなく、日本ではコンサルティング関連のリソースが潤沢とはいえないシスコが、ビジネスソリューション提供をどう進めるのか。
業種ごとに最適な製品提供ベンダーやシステムインテグレーション企業を選択し、これらの企業とともに各業界における参照アーキテクチャを構築するという。IoT(Internet of Things)では、ファナック、ヤマザキマザック、横河ソリューションサービスなどのデジタルビジネス構築を支援した例が生まれている。こうした先行例で得られた知見の横展開を進める。米シスコの開発した業界別のテンプレートはあるが、日本独自のものを開発していきたいという。
シスコはエンタープライズ事業部に、営業・エンジニアの双方から成る顧客のデジタルビジネス支援専任チームを発足。このチームが業種別のソリューション開発を進める。
最も力を入れる業種は製造業。専務執行役員でエンタープライズ事業統括の中川いち朗氏に理由を聞くと、日本は製造業が強いというだけでなく、グローバルな観点で考える企業が多く、他国に先んじたIT活用で差別化を図ろうとする意欲が高まっているからという。また、工場は、IPネットワーク環境が十分整備されていないケースが多い。インターネット接続におけるセキュリティ上の懸念も大きい。これも、ネットワークとセキュリティでノウハウを蓄積しているシスコが、支援しやすい理由だという。
一方、健康・医療分野では富士通との連携を深めようとしている。
ネットワーク以外の事業分野の拡大に関して、サーバ/データセンターソリューション、コラボレーション、セキュリティでネットワークに並ぶ売り上げを目指すと中川氏はいう。
また、シスコでは2020年東京オリンピック・パラリンピックのネットワーク製品におけるオフィシャルスポンサーとなっている。これを生かし、ネット接続される多様な社会インフラコンポーネントを、他社製品を含めてまとめ上げ、統合管理/制御できるようなプラットフォームを構築していきたいという。
鈴木氏は、シスコ自身のビジネスモデル変革について、日本では2020年をめどに、製品の売り切りと、サブスクリプション/サービスとの比率が50:50になるようにしていきたいと話している。
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