AWSとヴイエムウェアが発表したVMware Cloud on AWSとは2017年中頃に正式提供へ

米Amazon Web Services(AWS)と米ヴイエムウェアは2016年10月13日(米国時間)、両社のCEOがWebキャストに登場し、「VMware Cloud on AWS」を共同開発中であることを発表した。これはAWSのインフラ上にVMware vSphereをベースとしたバーチャルプライベートクラウドをユーザーが構築し、運用できるサービスだ。

» 2016年10月14日 07時17分 公開
[三木泉@IT]

 米Amazon Web Services(AWS)と米ヴイエムウェアは2016年10月13日(米国時間)、両社のCEOがWebキャストに登場し、「VMware Cloud on AWS」を共同開発中であることを発表した。これは文字通り、AWSのインフラ上にVMware vSphereをベースとしたバーチャルプライベートクラウドをユーザーが構築し、運用できるサービス。正式提供時期は2017年中頃で、ヴイエムウェアはベータテスト参加の受付を始めている。

AWSはヴイエムウェアにとって最優先のパブリッククラウド提供者となり、ヴイエムウェアはAWSにとって最優先のプライベートクラウド提供者となるという

 VMware Cloud on AWSは、ヴイエムウェアが(パートナーを活用して)販売し、サポートするサービス。ユーザーは同サービスのポータルを通じ、AWSのベアメタルサーバ上にESXiハイパーバイザを導入してサーバ仮想化の「VMware vSphere」、ソフトウェアストレージの「VMware Virtual SAN」、ネットワーク仮想化の「VMware NSX」から成る環境を構築し、vCenter経由で運用できる。AWSのサービスも使えるようになるという。

 両社の説明によると、これはAWSの仮想インスタンス上に構築される環境ではない。同社のデータセンターにおける物理サーバを、ユーザーが自社用にオンデマンドで確保し、この上でvSphere環境を構築できるというものだ。構築作業は自動で行われる。ユーザーは世界中のAWSリージョンから選択して、任意のリージョンに自社用のvSphere環境を構築できる(全リージョンを利用できるようになるかどうかは分からない)。vSphere環境を構築した後に、物理サーバを追加して拡張することもできる。つまりこのサービスにおいて、AWSは物理サーバの貸し出し事業者として機能することになる。スケールする均質な仮想化環境ではなく、物理サーバを提供するというのは、AWSにとって発想の大きな転換といえる。

ポータルから利用リソース量などを指定すれば、あとは自動的に自社用のvSphere環境が構築される

 ユーザーは、いったんAWS上に自社用のvSphere環境を構築してしまえば、vSphere Web Clientで自社データセンターのvSphere環境と統合的に運用できる。動作要件を満たしていれば、相互間でvMotionも可能。なお、vSphereには動的に仮想マシンを最適配置するDRS(Distributed Resource Scheduler)という機能がある。VMware Cloud on AWSでは、これを拡張した「Elastic DRS」という機能を提供するという。これはDRSの対象となる仮想化ホストを動的に構成できるというものだ。

 2社は、VMware Cloud on AWSでvSphere環境を利用するユーザーが、AWSが提供している各種サービスや機能を利用できるようになるとも説明している。この接続において、ネットワーク的にどのような構成になるのかは、説明されていない。

AWSの各種サービスをVMware Cloud on AWS環境から使えるようになるという

 VMware Cloud on AWSの料金体系は、3カ月、1年などを単位としたサブスクリプション、1時間単位の課金の2通りを選択できる。支払いは請求書ベースとクレジットカードを選択可能。また、ユーザーは既存のVMwareライセンスを同サービスに適用することもできるという。

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