最後に、キャンプ初日に行われた、「ばりかた勉強会」などのコミュニティー活動を行う花田智洋氏による講座を紹介してレポートを締めくくろう。合宿の始めに花田氏は、これから3日間をともにする仲間を知り、自身のキャンプ参加の目標を明確にするためのグループワークと発表の時間を設けた。
「PC向け3Dゲームにネット対戦機能を実装するとき、セキュリティ対策をどうするか考えていたら、先生にセキュリティ・キャンプを紹介された」。麻生情報ビジネス専門学校、情報工学科1年の山口勇樹氏は、本キャンプへの参加理由をそう答えた。
また、九州工業大学で教育工学を専攻する修士1年の小宮凛子氏は「セキュリティを最初に意識したのは、JavaScriptを書いていたときに先輩から脆弱性について教えられたこと。将来はセキュリティを踏まえた開発ができるソフトウェアエンジニアになりたい」と、将来の展望を明かす。
キャンプ参加のきっかけや動機、目標はさまざまだ。
講師の花田氏自身は、福岡に転勤になったことをきっかけに、九州でITセキュリティのコミュニティーを盛り上げたいと考え、2007年に九州・福岡のITセキュリティ勉強会「ばりかた勉強会」を設立。園田氏などに協力を仰ぎながら勉強会を運営してきた。
「どんなにセキュリティが好きでも、1人で勉強のモチベーションを維持するには相当な体力がいる。仲間と定期的に対話して刺激を受ける場は大切だ」。花田氏は自分の姿を参加者に重ね合わせる。
そして合宿中、また合宿後に向けた心構えとして、花田氏は参加者に3つの提案をした。
1つは、「試行錯誤の経験を積むこと」。私たちは成長とともに、与えられた課題や問題を解く世界から、自ら課題を掘り起こして取り組む姿勢が大切な世界へと踏み出す。そんなときに効いてくるのが、試行錯誤の経験だ。「いずれ似たような問題に遭遇したとき、キャンプでの経験があればきっと乗り越えられる」(花田氏)。
2つ目は、「感情をコントロールすること」だ。「情報セキュリティ技術は、使い手によっては凶器と化す。そのことを忘れず、高い倫理観を持って、自分自身も周りも良い方向へ導くインフルエンサーになってほしい」と花田氏は訴える。
そして3つ目は、「意欲や取り組みを継続すること」だ。「現場の第一人者や学生たちによる勉強会は、全国で盛んに行われているので、積極的に参加してほしい。もちろん、自分たちで新たに立ち上げるのも大歓迎だ。そのときは、年上の人間に遠慮なく頼ること。そのための支援を惜しむ人は誰もいない」(花田氏)。
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