ニュータニックス・ジャパンは2017年1月25日、米ニュータニックスの会長兼CEOであるデイラージ・パンディ氏とニュータニックス・ジャパンのコーポレートマネージングディレクター兼社長の町田栄作氏が記者に対し、同社の戦略を説明した。
ニュータニックス・ジャパンは2017年1月25日、米ニュータニックスの会長兼CEOであるデイラージ・パンディ(Dheeraj Pandey)氏とニュータニックス・ジャパンのコーポレートマネージングディレクター兼社長の町田栄作氏が記者に対し、同社の戦略を説明した。
米国などと日本との市場の違いについてたずねると、パンディ氏は「クラウドは世界を平坦化する。草の根から革命を起こすことができる」と答え、日米の市場環境の違いは次第に問題にならなくなってくるとの考えを示した。一方町田氏は、「特に日本では、システムインテグレーターや(クラウド事業者などの)サービス事業者が自身で実装できるものを提供していくことが重要になる」と話した。
ニュータニックスのソフトウェアは、これまでニュータニックス、デル、レノボ各社による統合製品、およびニュータニックスが認定した「Cisco UCS」上での稼働という形で提供されてきた。今後はユーザーがハードウェアをより柔軟に選択しながらサポートも受けられるよう、選択肢を増やそうと考えているようだ。
これを裏書きするかのように、町田氏は自らのプレゼンテーションの冒頭、「ニュータニックスは100%ソフトウェアカンパニーです」と宣言している。
米ニュータニックスは「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」のベンダーだが、過去1年近くにわたり、「Enterprise Cloud Platform」というキャッチフレーズを掲げ、「他のHCIベンダーとは目指しているものが異なる」と強調してきた。パンディ氏が日米の市場環境の違いについて答えた際に、自社製品を「クラウド」と表現したのはこのためだ。
パンディ氏はあらためて、米アップルのiPhoneが携帯電話、音楽プレイヤー、インターネットアクセスといった「コンポーネント」を統合して「プロダクト」を作り、さらにこれがさまざまなアプリのエコシステムを支える「プラットフォーム」に育ったように、ニュータニックスの製品はHCIというプロダクトから、ソフトウェアに基づく企業ITのプラットフォームに進化していくと説明した。
ニュータニックスが今や競争相手として意識しているのは、ヴイエムウェアでありAmazon Web Services(AWS)のようなパブリッククラウドだ。コンピュートとストレージに加え、ネットワークやセキュリティ関連の機能を強化。これらの機能をヴイエムウェアよりも統合度が高く使いやすい、ワンクリックで運用できる製品として提供するという。
一方、パブリッククラウドについてはまず、ニュータニックス環境との差異を隠蔽、AWSやMicrosoft AzureをオンプレミスITインフラの一部として見せる運用インタフェースを提供する。すなわち、パブリッククラウドをニーズに応じて使いやすくするという価値を提供する。セキュリティについても、ニュータニックス環境とパブリッククラウドにまたがった、統合的な管理を実現する。これには、オンプレミスIT環境の使い勝手を、パブリッククラウドと同様にシンプルなものにすることが含まれる。
@ITとの個別インタビューでパンディ氏は、オンプレミス環境でパブリッククラウドと同様にシンプルな使い勝手を実現して初めて、コストに基づく純粋な両者の比較が可能となり、ユーザー企業はアプリケーションごとに適切な選択ができるようになると話した。
ニュータニックス・ジャパンは2017年1月25日に、OSの新バージョン「AOS 5.0」を正式リリースしたと発表した。現在サポートポータル経由でのダウンロード提供を行っており、ワンクリックでのアップデートは近日中に提供するという。ここでは要点をお伝えする。
NutanixのストレージにSMB/CIFSでアクセスできる機能「Acropolis File Services」が一般提供開始となった。これにより、例えばデスクトップ仮想化環境(VDI)を、別途ファイルストレージ装置などを使わず、Nutanixだけで構築できるようになった。
一方ニュータニックスは、ブロックストレージプロトコルでの同社データプラットフォームへのアクセス機能「Acropolis Block Services」を既に搭載している。これにより、物理サーバのストレージも統合できるようになっている。新バージョンでは、負荷分散や高性能化などの強化がなされた。
ニュータニックスがハイパーバイザの選択肢の1つとして提供するKVMベースの「Acropolis Hypervisor(AHV)」では、「アフィニティルール」(特定の物理ノードに仮想マシンを固定)、「Acropolis Dynamic Scheduling」(vSphereのDRSに相当する、仮想マシンの自動再配置機能)、「CPU/メモリのホットアッド」(仮想マシンを停止せずにvCPUやメインメモリを追加、今回は技術プレビュー版を提供)といった機能を搭載、KVMベースでもvSphereと同様なことができるようになってきたことを示している。
AOS 5.0では、管理ツール「Prism」にセルフサービス機能を新搭載。ユーザーは自身のアカウントで管理ツールにログインし、許可されたアクションを行える。自身で仮想マシンを作成するなどが可能。また、vSphere環境について、日常的な運用管理作業をvCenterなしに行えるようになった。
AOS 5.0では、トップオブラック・スイッチなどからLLDPおよびSNMPで情報を吸い上げ、Prismで接続トポロジーや接続状態を可視化し、確認できるようになった。今後、ネットワーク製品を制御する機能を搭載する。また、ニュータニックスはネットワークを細かな仮想セグメントに分割する「マイクロセグメンテーション」の搭載を発表済み。こちらは数カ月以内に登場の見通しだ。
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