ガートナー ジャパンが、日本企業のIoT推進状況に関する調査結果を発表。IoTの推進体制を確立しようとしている企業は2016年よりも増え、「既に確立/あるいは3年以内に確立予定」と回答した企業が6割を超えた。一方で「推進のペースは、やや緩やか」な課題も。
ガートナー ジャパンは2017年4月12日、2017年2月に行った日本企業のIoT(Internet of Things)への取り組みに関する調査結果を発表した。
日本企業におけるIoT推進体制の状況は、「既にIoTの専門部署やグループを組織した」と回答した企業の割合が14%となり、2016年調査時の10.1%から約4ポイント増えた。併せて、「現在準備中(1年以内に実施)」は20%、「3年以内に確立予定」は26.6%となり、具体的にIoTの推進体制を固めた、あるいは計画済みとする企業の割合が6割を超えた。
なお、ITを重要視する経営者が率いる企業では推進率が高まることも分かった。ITを重要視すると回答した経営層が率いる企業が回答した割合は、「既にIoTの専門部署やグループを組織した/3年以内に確率予定」が63.8%だったのに対し、「3年より先/未定」は38.9%と、2倍近くの開きがあった。
この他、「IoTは、自社の製品やサービスそのものが変わるか」の問いでは、「既に変わりつつある/3年以内に変わり始める」と回答した割合が55%と最も多かった。一方、「変化は起きない/分からない」との回答も18%あった。
今回の調査結果に対して、ガートナー ジャパンのリサーチ部門でバイス プレジデントを務める池田武史氏は、「IoTの推進体制を確立して取り組みを進める企業は、2016年よりも増えた。ただ、全体に占める割合としては、まだ2割にも満たないこと、そして、2016年の時点で1年以内に実施予定としていた企業の一部がこれを実現できていない傾向も今回の結果から読み取れる。つまり、国内企業のIoTへの取り組みは、前進しているとはいえ、“緩やかなペース”にとどまっている。その背景には、IoTがビジネスの多くの場面に影響を及ぼすのはまだ数年先と考えられていること、また、具体的な取り組みを、いつどのように始めるべきかが分からない状況があると考えられる」としている。
企業の経営層やITリーダーがこの先見据えるべきこととして、同氏は、「IoTは、従来の顧客やパートナーとの関係、営業やマーケティングの手法、製品やサービスの開発の進め方など、多くの業務や各部門の役割および作業そのものにも影響を及ぼす。IoTは今後のデジタルビジネス時代の中核となるテクノロジーであり、その取り組みを推進することは、企業の今後に向けた新しい組織づくりの側面でもあることを理解する必要がある」と述べた。
同調査は、日本全国の従業員数500人以上の企業の、IT導入の決裁権所持者やITインフラ戦略に関与する役職者に対して2017年2月に行われた。有効回答数は515件。
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