Azureの仮想マシンは、デフォルトではDHCPによって自動的にプライベートIPアドレスが割り当てられます。ですが、複数の仮想マシンを組み合わせて利用したい場合など、用途によっては固定的なIPアドレスを利用したいこともあります。そんな時は「静的」なIPアドレスを割り当てるとよいでしょう。
最初に、デフォルトの状態(DHCPによる動的な割り当てが行われている状態)を示しておきます。
C:\>ipconfig /all ……仮想マシン内で、割り当てられているIPアドレス情報などを確認します
Windows IP 構成
ホスト名. . . . . . . . . . .: mywinserver1 ……ホスト名
プライマリ DNS サフィックス .:
ノード タイプ . . . . . . . .: ハイブリッド
IP ルーティング有効 . . . . .: いいえ
WINS プロキシ有効 . . . . . .: いいえ
DNS サフィックス検索一覧. . .: kcfxi5fi3adezkvywg0oweshia.lx.internal.cloudapp.net
イーサネット アダプター Ethernet 2:
接続固有の DNS サフィックス .: kcfxi5fi3adezkvywg0oweshia.lx.internal.cloudapp.net ……パブリックなDNSドメイン名。VNETにはこのようなユニークなDNSドメイン名が割り当てられている
説明. . . . . . . . . . . . .: Microsoft Hyper-V Network Adapter #2
物理アドレス. . . . . . . . .: 00-0D-3A-50-CB-B5
DHCP 有効 . . . . . . . . . .: はい
自動構成有効. . . . . . . . .: はい
リンクローカル IPv6 アドレス.: fe80::f129:d173:fdba:5ebb%13(優先)
IPv4 アドレス . . . . . . . .: 10.0.0.4(優先) ……IPアドレス
サブネット マスク . . . . . .: 255.255.255.0 ……サブネットマスク
リース取得. . . . . . . . . .: 2017年5月22日 19:48:06
リースの有効期限. . . . . . .: 2153年6月29日 17:22:50 ……DHCPの有効期限。非常に長い!
デフォルト ゲートウェイ . . .: 10.0.0.1 ……デフォルトゲートウェイ
DHCP サーバー . . . . . . . .: 168.63.129.16 ……DHCPサーバ
DHCPv6 IAID . . . . . . . . .: 83889466
DHCPv6 クライアント DUID. . .: 00-01-00-01-20-A2-CC-EA-00-15-5D-0A-13-14
DNS サーバー. . . . . . . . .: 168.63.129.16 ……DNSサーバ
NetBIOS over TCP/IP . . . . .: 有効
……(以下省略)……
これを見ると分かるように、DHCPによってプライベートIPアドレスが割り当てられています。
仮想マシンのNICに割り当てられている、このプライベートIPアドレスを固定的なIPアドレスにするには、Azureの管理ポータル画面で、仮想マシンのネットワークインタフェースの画面を開き、[設定]−[ネットワークインターフェイス]画面から[IP構成]を選んで、割り当てるIPアドレスを設定します。これにより、いつも同じIPアドレスがDHCPで割り当てられるようになります。
このとき、仮想マシンのOS上で、直接NICに静的なIPアドレスを設定しないでください。Azureの仮想マシンのメンテナンスやマイグレーション時などに、仮想マシンのNIC構成が変更されてしまう(静的設定が削除される)ことがあるためです。
インターネット側から仮想マシンに接続する場合、今までは仮想マシンのグローバルIPアドレスを直接指定して接続していました。でも、もっと分かりやすいFQDN名を付けることも可能です。実は仮想マシンに付けられているIPアドレスは固定ではなく、場合によっては変わることがあるので、名前で接続できるようにしておくことは重要でしょう。
停止中の課金を避けるためには、仮想マシンをOSのメニューでシャットダウンするのではなく、Azureの管理ポータル画面にある[停止]ボタンで止めるようにしてください、と第1回の最後で述べました。この操作を行うと、仮想マシンに割り当てられていた各種のリソースが解除・解放されますが、このときグローバルIPアドレスもいったん解放されてしまいます。そして後でまた[開始]すると、今度は別のグローバルIPアドレスが割り当てられます(同じIPアドレスになることはほとんどないようです)。
毎回変わるIPアドレスを指定するのは面倒です。そこで、何らかのホスト名を付けて、IPアドレスの代わりに指定しましょう(実はこのIPアドレスを固定にする方法もありますが、それはまた今度)。
ホスト名(FQDN名)を付けるには、仮想マシンの管理画面に表示されている[パブリックIPアドレス]のリンクをクリックします。すると次のような設定画面が表示されるので、適当なホスト名を指定します。同じドメイン内に衝突する名前がなければ設定できます。ただしドメイン名の部分は「.japaneast.cloudapp.azure.com」のように固定です(先頭の「.japaneast.」の部分はリージョンごとに変わります)。
こうやって名前を付けておくと、以後は例えば「dapubwebserver001.japaneast.cloudapp.azure.com」といった名前でリモートデスクトップ接続したり、Webブラウザで開いたりできるようになります。
今回はAzureの仮想マシンにおけるネットワークの仕組みや設定方法などについて見てきました。仮想マシンの外部にAzure独自の仮想ネットワークやセキュリティ機構などが存在しているため、やや面倒に感じるかもしれません。
それでも、(複数の仮想マシンを組み合わせた)ある程度の規模の仮想マシン群のネットワークを管理しようとすると、Azureのネットワークリソース管理のような機能は必ず必要になるでしょう。慣れておきたいです。
次回はディスク(ストレージ)リソースなどについて見ていきます。
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