Interop Tokyo 2017、IoTとクラウドで進化するITインフラ、そしてネットワークInterop Tokyo 2017の歩き方(2)(2/2 ページ)

» 2017年06月06日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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データセンターネットワーキングが変わる

 デルは、Pluribus Networksの「Adaptive Cloud Fabric」を紹介する。デルのデータセンタースイッチ上でPluribusのスイッチOSを動かし、SDNコントローラーなしに柔軟なネットワークの論理分割が図れる。Pluribusは「サーバ仮想化でヴイエムウェアがやったことを実行する」と表現しているが、「スイッチの仮想化」とも表現できる。さらにPluribusのソフトウェアを搭載したスイッチを使うと、データセンター間接続(DCI)が容易にできるといい、複数データセンターの仮想ネットワークセグメント同士のプライベート接続も可能だ。

 複数データセンター間接続の流れでいえば、ZertoはVMware vSphere、Hyper-Vに対応した災害対策のためのレプリケーションソフトウェアの最新版を紹介している。Zerto製品のユニークな点は、ESXiとHyper-Vの仮想マシンのフォーマットを自動的に変換をした上でレプリケーションができることだ。これまで、Amazon Web Servicesへのバックアップにも対応していたが、新バージョン5.0ではMicrosoft Azureへのバックアップも実現した。さらに1対多のレプリケーションが実現、同一データセンターおよび別データセンター/クラウドへ、複数の冗長化ができるようになった。ZertoではCDP(Cotinuous Data Protection)を採用していて、リアルタイムに近いデータ保護を、自動的に常時実行できる。

 データセンター/クラウドの運用では、自動化が重要な役割を果たす。ブロケードは、ITインフラ運用全般を自動化するオープンソースツール、「StackStorm」を紹介する。Chef、Puppet、Ansibleなどに似ているが、イベントドリブンで複雑なワークフローを設計・実行できる点に特色がある。Chef、Puppet、Ansibleなどとは必ずしも競合せず、これらのスクリプトを起動するコントロールエンジンとして使うことができる。

 アプリケーションデリバリコントローラー(Application Delivery Controller:ADC)の世界では、オンプレミスとクラウドの双方をカバーする製品展開が進んでいる。

 A10ネットワークスは、2017年5月29日に発表した「Harmony Controller」というサービスを紹介する。同社はメジャーパブリッククラウドに導入できる仮想マシン形式の「Lightning ADC」も併せて発表している。Harmony Controllerでは、Lightning ADCの稼働状況の可視化やポリシー管理ができるが、今後オープンソースのHAProxy、そして同社がオンプレミス用に提供してきた「Thunder ADC」および仮想版の「vThunder ADC」を一元管理できるようになるという。

 一方で、特定機能に特化した製品を提供する動きもある。F5ネットワークスは、新セキュリティブランド「Herculon」で、SSL/TLS処理製品、DDoS攻撃対応製品を発表している。NTTアドバンステクノロジーはこのHerculonを紹介する。

 データセンター関連では、TileFlow Japanが同社の熱気流解析・可視化ソフトウェア「TileFlow」で、解析の自動化を実現した。同製品は統合運用監視システムとの連携が進んでいる。TileFlowの新バージョン6.0では、連携した運用監視システムからのデータを活用し、従来では人手で行う必要のあった解析作業を自動化したという。

ネットワーク機器における最新の動き

 IoTとクラウドは、ネットワーク機器に新たな役割を与えようとしている。

 ヤマハは、低価格なノンインテリジェント・イーサネットスイッチ「SWX-2100」シリーズを展示する。同シリーズでは24ポート版「SWX2100-24G」が登場。このモデルはSFPポートを備え、光ケーブルによるアップリンクも可能。ノンインテリジェントだが、同社のルータやインテリジェントスイッチから管理ができる。

 SWX2100には、PoE給電ができる機種もあり、IP監視カメラのためのスイッチとして適していることをヤマハは強調している。IPカメラがフリーズするとリセットしなければならないが、これをPoE給電のオフ/オンで代用するケースが多く、SWX2100ではこうした機能を備えるスイッチを安価に調達できるからだ。

 エッジルータでは、ジュニパーネットワークスが、今回のInteropで世界で初めて、「MX10003」を紹介する。この製品は、3Uで4.8Tbpsのスループットを発揮するという。

 コアルータでは、ファーウェイが、同社の「NE9000-20」用の、最大4Tbpsに対応したルーティングラインカードを紹介する。100Gbpsx40ポートおよび400Gbpsx8ポートの製品がある。1チップで1Tbpsを処理できる自社開発のネットワークプロセッサと、1スロット当たり8Tbpsのケーブルバックプレーンを組み合わせているという。

 一方波長多重化装置(WDM)は、以前こそキャリアのバックボーンやキャリア間の相互接続で使われる特殊な装置だと思われてきたが、最近ではデータセンター間接続にターゲットを絞った使いやすい製品が登場するようになってきた。

 日本シエナコミュニケーションズが展示する「Waveserver Ai」も、まさにデータセンター間接続に焦点を当てた製品。1Uのボックス型WDMだが、最大2.4Tbpsの伝送が可能だという。同社の独自DSPチップ「WaveLogicAi」は、1波長当たり最大で400Gbpsの高速通信実現し、1本の光ファイバーで最大30.4Tbpsの伝送容量を確保するとしている。Waveserverは「Open White Box ROADM」のトランスポンダーとしてオープンソースのONOSコントローラーから制御可能という。

 NECは5G時代をサポートできるメトロネットワーク用小型パケット光統合トランスポート装置として、「SpectralWave DW7000」を展示する。6Uあるいは3Uのシャーシ型で、ファイバー当たり最大25.6Tbps、4方路までのシステムを構成できるという。SDHなど既存サービスの収容も可能。従来比でトランスポンダーを4分の1に小型化、消費電力は約38%削減、伝送距離1.4倍を実現したとしている。

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