「ねえGoogle、Google Homeは使いものになる?」実際に触って実力をチェック「スマートスピーカー」の今と近未来(2)(1/2 ページ)

スマートスピーカーは実際、どのような用途で価値を発揮するか。どんな人にとって便利か。ここでは、2017年10月6日に日本で発売されたばかりのGoogle Homeに焦点を当て、実際に触って、その使い勝手を独自の視点でまとめてお伝えする。

» 2017年10月11日 05時00分 公開
[三木泉@IT]

 スマートスピーカーは実際、どのような用途で価値を発揮するか。どんな人にとって便利か。ここでは、2017年10月6日に、日本で発売されたばかりのGoogle Homeに焦点を当て、実際に触って、その使い勝手を独自の視点でまとめてお伝えする。

音楽機能は生活を変えるか

 大部分のユーザーが、まず試すだろうと思われるのが音楽機能。「たかが音楽機能、されど音楽機能」で、単純に「音楽を聴く」というだけにとどまらないところに注目したい。

家の構造にもよるが、1台目のGoogle Homeはダイニングキッチンに置くことが想定されている(2017年10月5日、日本における発表会でのデモ)

 日本では、2017年10月中旬時点で、Google Play Musicの有料サービス/無料サービス、Spotifyの有料サービス/無料サービスに対応している。Spotifyの無料サービスへの対応は、米国でもAmazon Echoシリーズには見られない。

 「Google Play MusicとSpotifyのどちらも好きではない、他の音楽ストリーミングサービスを使っている」という読者がいるかもしれない。それでもGoogle Homeの音楽機能は使ってよかったと思える場合がいくつか考えられる。

 1人で暮らしていても、家にいるときに、何か音楽を聴きたいと思うことはあるだろう。別に「どの曲」というわけでもない。Google Play MusicやSpotifyの無料サービスしか設定していなくても、自分のプレイリストの再生もできる。また、例えば「ねえGoogle、気分を上げてくれる音楽が聴きたい」と言えば、音楽サービスからキーワードに合ったプレイリストやステーションを再生してくれる。こうして、家にいる間ずっと、音楽を聴きながら生活できる。

 「ほぼ音楽とは無縁だった私たち。このおかげで音楽と一緒の生活が始まりました」といったGoogle Homeのコマーシャルが作られたとしても、誇大広告だとは思わない。

 好きな曲になったら、「ねえ、Google、音量を8にして」などとボリュームを上げて、その世界に浸ることができる。

 音楽を流したまま、Google Homeに別のこと、例えば天気を聞いたり、任意の質問をしたりしてもいい。その作業中は音楽がミュートされ、終わると元の音量で再生が続けられる。その意味でも、生活のバックグラウンドで音楽を使える。

 有料サービスを使っている人なら、もちろん「クリーン・バンディットの『シンフォニー』が聴きたい」などと、アーティスト名、曲名を指定して再生できる。その後「止めて」と言わなければ、似ている曲を次々に再生する。聞いている曲が気に入ったら、「この曲、何?」と聞いてアーティスト、曲名を確認できる。こうして新しい曲に出会うことができる。

 残念なのは、英語では可能な「Play the song that goes …」ができないこと。聞きたい曲を「goes」の後に鼻歌で歌うと、これを再生してくれる機能だ。日本語でやってみたが、この機能を使うことができなかった。

音楽サービスのアカウントをシェアできる

 Google Homeの音楽機能は、1人でも上のように楽しめるが、複数人が同居している場合には、金銭的なメリットが出てくる。あるユーザーの有料サービスアカウントを、他のユーザーも使えるからだ。Google Homeは、独自の機能として、音声認識によるマルチユーザー対応がある。これと音楽機能が連動していることを利用し、さまざまなパターンでの利用を実現している。

 Google HomeおよびAmazon Echoでは、設定した人の契約している有料音楽サービスを、他の人が利用できる。つまり、家の中に限ってではあるが、複数の別アカウントやファミリーアカウントを購入せずに、複数ユーザーが有料サービスを使える。この1点だけで、Google Homeの購入を考える人はいるだろう。

 Google Homeではさらに、同居している他のユーザーをアカウント登録すると、そのユーザーの契約している有料音楽サービスも利用できる。つまり、AとBの2人が同居していて、AがGoogle Homeの最初のユーザーになったとする。また、AがGoogle Play Music、BがSpotifyのそれぞれ有料サービスを契約しているとする。すると2人とも、Google Play Music、Spotifyの双方の有料サービスを、使えるようになる。

 こうした場合でも、デフォルトサービスはAがGoogle Play Music、BがSpotify。サービス名を指定しない限り、デフォルトサービスを使って音楽が再生される。さらに、2人がどちらのサービスを使った場合でも、それぞれの好みやプレイリストを別個に管理できる。従って、他の人とアカウントを共有したことによる、パーソナライズの混乱は発生しない。

実はGoogle Homeはマルチリンガルだった

 スマートスピーカーでは、さまざまな意味で、人の質問や働きかけにどう対応するかが、使い勝手を大きく左右する。

 Google Homeの日本語音声認識は精度が高い。音楽サービスで曲を指定する際には、外国人アーティスト名や外国曲名を日本語発音で言うことになる。固有名詞や曲名のような普通名詞の羅列は難易度が高いと思われるが、かなりうまく拾ってくれる。逆に、英語の曲名を英語発音で言っても、日本語モードでは理解しにくいようだ。

 逆に「何の曲?」などと聞いた時の答えは、聞き取りにくいことがある。正確にアーティスト名や曲名を言っていても、外国名の場合、期待するイントネーションで言ってくれないため、2度聞かないと理解できないことがある。

 ちなみに、Google Homeはマルチリンガルだということが分かった。言語設定に日本語の他、英語(米国)、英語(英国)、英語(豪州)、仏語、独語などの選択肢がある。これを日本語から例えば英語に変えると、英語で受け答えができる。一方、日本語設定のままだと、英語で音声コマンドや曲名を言っても、認識してくれない。

 日本語設定のままでも、翻訳機能はかなり使えそうだ。「ねえGoogle、『昨日は近所の自転車屋で自転車を買って、とてもうれしかったです』を英語で言って」など、ある程度長い文章の翻訳にも対応する。電子メールやソーシャルネットワーキング、手紙で重宝しそうだ。

日本語という言語の難しさ

 日本語の文の構造は、会話での自動音声認識にはチャレンジだ。「主語+動詞+〜」になっていないため、話者の「インテント(意図)」が早い段階で把握しにくいからだ。

 前述の、「Play the song that goes …」で鼻歌から曲を自動検索して再生する機能が、日本語に移植しにくい理由も、ここにある可能性がある。

 日本語でこれをやろうとすると、「ねえ、Google」と言った後に、(短く)鼻歌を歌った後、「っていう曲を聞かせて」といった表現をすることになる。Google Homeにしてみれば、突然鼻歌を聞かされても、何をやらせたいのかが分からないので、「Shazam」のような曲名認識機能を起動できないだろう。そこで、「ねえ、Google、これから歌う曲をかけて」と言った後に鼻歌を歌ってみたが、反応しなかった。

 とはいえ、これも前述の翻訳機能では、ある程度長い文章にも対応しているので、取り込んだ情報に後からインテントを適用するような処理ができないわけではないようだ。

 一方、「〜って何?」「なぜ〜?」のように単純な日本語の質問文は、ほとんどの場合、問題なく認識する。

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