ユーザー組織の使うAmazon VPCと、同じリージョン/AZに構築した同一ユーザー組織のVMC on AWSクラスタは、どう相互接続できるのか。
全体的には、「Elastic Network Interface』を通じて接続する。これにより、VMC on AWS上の仮想マシンはAmazon EC2、S3、RedShiftなどのAWSサービスと通信できる」(バラワジ氏)。
各ユーザー企業レベルでは、Amazon VPCとの接続が、VMC on AWSクラスタ構築時の設定オプションとして提供される。「構築時に、顧客はVMwareの提供するCloud Formationテンプレートをダウンロードし、これを同一顧客のAmazon VPCで実行する。すると、顧客のVPC内で新たなIAM roleが作成される。このアカウントをVMwareアカウントとつなげ、信頼関係を確立できる。これを基に、ネットワーク接続が実現する」(バラワジ氏)。
VMC on AWSは、本記事執筆時点では物理ホストごとに時間単位の課金のみとなっている。これに加え将来、AWSの「リザーブドインスタンス」に似た、1年あるいは3年の事前コミットに基づくディスカウント料金が提供される。提供開始時期は「バージニアリージョンの提供開始と同時」(バラワジ氏)。すなわち、2017年中になるという。
VMC on AWSでは、新たにチャットによるサポートを提供開始している。VMC on AWS管理画面上の「サポート」アイコンを押すことで、即座に適切なサポートエンジニアが対応、チャットによるやり取りで問題解決が図れるという。「通常5分以内に、質問に対する答えができる」(バラワジ氏)。操作方法から技術的な質問まで対応するという。
「顧客とはより近い関係を築こうとしている」とバラワジ氏は話す。サポートでは、チャット以外にも、さまざまな取り組みを進めていくつもりだという。
新しい事実ではないが、VMC on AWSでは、VMware vSphere、VMware vSAN、VMware NSXといったソフトウェアのライフサイクルを、VMwareが管理する。バージョンアップやパッチは、VMwareの責任で適用される。「このことを評価してくれるユーザー企業やパートナーは多い」とバラワジ氏は話す。
前回の記事でも触れたように、VMC on AWSは、記事執筆時点では「イニシャルアベイラビリティ」とされる。そこで「ジェネラルアベイラビリティ(GA:一般提供開始)はいつになるのか」とバラワジ氏に聞いてみた。
バラワジ氏は、「サービスの世界は、ソフトウェアの世界とは若干異なる。(VMC on AWSについて)『GA』という言葉は使わないようにしている」と答えた。
では、いつになれば、ユーザー企業が「VMC on AWSを利用する」と判断したら、VMwareに選ばれることなく使えるようになるのか。
この質問に対するバラワジ氏の答えは次の通り。
「当然ながら、当社では多様なセルフサービスの選択肢を提供しようとしている(そうすれば自動的に即座に使えるようになるという意味)。目標は、AWSやMicrosoft Azureなど、パブリッククラウドと同じような選択肢の提供だ。Webでサインアップし、複数の支払い方法を選択できるようにするつもりだ。現時点では(支払い方法として)『VMwareクレジット』のみに対応している。クレジットカード支払いなど、はるかに短時間で処理できる支払い方法に対応する。対応時期について、公表できるものはない。ただ、技術的には難しいものではない」(バラワジ氏)
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