Windows 10標準のバックアップと復元に関しては、もう1点、既知の問題があります。それは、Windows 10 Creators Update(バージョン1703)以降で、ファイルサーバやNAS(ネットワーク接続型記憶域)デバイスのネットワーク共有(共有フォルダ)にバックアップを作成している方に影響します。
ネットワーク共有にバックアップを作成している方は、以下の公式ブログの情報は知っておいてください。UNC(Universal Naming Convention)パスを指定してネットワーク共有上のバックアップを検索しようとすると、「内部エラーが発生しました」と表示されてびっくりするでしょう(画面7)。
これはWindows 10 バージョン1703およびバージョン1709の既知の問題であり、次のバージョン(おそらくバージョン1803)で修正される予定だそうです。公式ブログには、Windows 10 バージョン1703における認証周りの変更が原因のように書いてありますが、エラーの違いを見ると、Windows 10 バージョン1709ではネットワークの初期化という別の問題も影響しているように思えます。
いずれにしろ、これらのバージョンでネットワーク共有上のバックアップから復元するには、本稿でも紹介したWBADMINコマンドを使用した複雑な作業が必要になります(手順は上記の公式ブログで説明されています)。なお、前述したようにシステムイメージのバックアップ機能はバージョン1709から非推奨になり、将来のバージョンで削除される可能性がありますが、少なくとも間もなく登場する次のバージョンでは現役続行ということになりますね。
このように、ひとたびWindows Updateで特定の更新プログラムの問題に遭遇すると、その後回復しようとしても、更新のアンインストールの問題(異様に時間がかかり終わらない)、システムの復元の問題(不明なエラー0x80070005で正常に完了しない)、システムイメージからの復元の問題(エラー0x80042302の復元失敗、UNCパス検索の内部エラー)と、畳みかけるように問題が続くかもしれません。そして、それに対処するには上級者レベルのコマンドライン操作が必要な場合があります。
「何一つちゃんとしていないじゃないか、Windows 10は!」と思うかもしれませんが(筆者は思っています)、どの問題にも遭遇しない場合もあります。しかも、特別なハードウェアやソフトウェアとの組み合わせで発生する問題ではないことが、最近のWindowsの不思議なところです。本当にどうなっているのでしょうか。どうにかしてほしいものです。
ところで、2018年3月の更新は無事に完了したでしょうか。筆者のWindows Server 2016では、高い確率で更新プログラムのインストールに失敗し、それを成功させるのにかなり長い時間を必要としました。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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