世界のパブリッククラウドサービス売上高は2018年に1864億ドルに達し、その後も2桁成長を続けて2021年には3025億ドルに拡大する見通しだ。
Gartnerは2018年4月12日(米国時間)、世界のパブリッククラウドサービス市場の最新予測を発表した。2018年の世界売上高は前年の1535億ドルから21.4%増加し、1864億ドルとなる見通しだ。
最も急成長すると見込まれる市場セグメントはクラウドシステムインフラサービス(IaaS:Infrastructure as a Service)で、2018年の売上高は前年比35.9%増の408億ドルに達すると予想されている(表1)。
2016年のIaaS市場では、上位のプロバイダー10社の合計市場シェアは50%だったが、2021年には、この数字が70%近くまで上昇するとGartnerは予想している。
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
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クラウドビジネスプロセスサービス(BPaaS) | 42.6 | 46.4 | 50.1 | 54.1 | 58.4 |
クラウドアプリケーションインフラサービス(PaaS) | 11.9 | 15 | 18.6 | 22.7 | 27.3 |
クラウドアプリケーションサービス(SaaS) | 60.2 | 73.6 | 87.2 | 101.9 | 117.1 |
クラウド管理およびセキュリティサービス | 8.7 | 10.5 | 12.3 | 14.1 | 16.1 |
クラウドシステムインフラサービス(IaaS) | 30 | 40.8 | 52.9 | 67.4 | 83.5 |
市場全体 | 153.5 | 186.4 | 221.1 | 260.2 | 302.5 |
BPaaS:Business Process as a Service PaaS:Platform as a Service IaaS:Infrastructure as a Service 注:四捨五入のため、合計が合わない場合もある 出典:Gartner(April 2018) |
Gartnerのリサーチディレクターのシド・ナグ氏は次のように指摘する。
「ハイパースケールIaaSプロバイダーの勢力拡大は、エンドユーザーや他の市場参加者に大きなチャンスと課題をもたらす。こうしたプロバイダーの隆盛は、効率やコストの面ではメリットになるが、顧客や市場に対する彼らの影響力の拡大に歯止めがかからなくなる恐れもある。マルチクラウドの導入機運が高まる中、企業や組織は、クラウドプロバイダーのIaaSサービス間でワークロード、アプリケーション、データを、不利益を被らずに簡単に移行できる方法をますます求めるようになるだろう」(ナグ氏)
クラウドアプリケーションサービス(SaaS:Software as a Service)は、今後もこれまでと同様に、クラウド市場で最大のセグメントであり続ける見通しだ。SaaSの2018年の世界売上高は前年比22.2%増の736億ドルとなり、2021年には、SaaSがアプリケーションソフトウェア支出全体に占める割合が、45%に達するとGartnerは予想している。
「SaaSは多くの分野で、アプリケーションの提供モデルとして好まれるようになっている。現在、SaaSユーザーの間では、特定のビジネス結果をもたらすように構築された専用サービスの需要が高まっている」(ナグ氏)
クラウドアプリケーションインフラサービス(PaaS:Platform as a Service)のカテゴリーでは、dbPaaS(database Platform as a Service)のセグメントが最も急成長している。このセグメントの売上高は2021年には100億ドル近くになる見通しだ。ハイパースケールクラウドプロバイダーはサービスを拡充し、dbPaaSも手掛けるようになっている。
「こうした大手プロバイダーはさまざまな強みを持っており、顧客も、これらのプロバイダーの現在と将来のニーズ対応力におおむね満足している。だが、ロックインを避けたい企業や組織にとっては、別のdbPaaSの方が良い選択肢かもしれない」(ナグ氏)
Gartnerは、2019年以降は、パブリッククラウドサービスの売上高成長率が20%を下回り、徐々に低下すると予想している。この傾向は、IT支出の幅広い対象の中で、パブリッククラウドサービスが主流として普及していき、成熟化することに伴うものだ。
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