カブドットコム証券は、株式発注システムを支えるデータベース基盤のテスト環境に「Oracle Database Cloud」を導入。本番環境と同等の環境で、パッチ適用前後のSQL非互換、性能テストの正確性向上などの事前検証を自動で行えるようにした。
日本オラクルとアシストは2018年5月29日、カブドットコム証券が、同社の株式発注基盤システム「RAIDEN」(ライデン)のテスト環境に「Oracle Database Cloud」を導入したと発表した。テストを自動化することで、工数を従来比75%削減したという。
カブドットコム証券では、株式市場の活性化に伴い、新規口座開設数や約定件数が急増したことを受けて、2014年11月からRAIDENの稼働を開始。その際、急増するデータ量に対応し、可用性を高めるためのデータベース基盤として「Oracle Database」を導入した。現在は、より高速・高性能な取引サービスを実現するため、システムを安定稼働させるための体制強化を図っている。
その一環として、ソフトウェアの最新化やセキュリティパッチの適用といった対策を適時講じているが、そうした定期的に発生するデータベースのパッチ適用やアップデート作業を迅速化するため、正確かつ効率的に事前検証を行える環境を準備する必要があったという。
また、過去に別のシステムにパッチを適用した際には、実行計画の変化などを手作業で確認したため、全てのSQLを検証できず、工数は約1人月かかるなど、テストの網羅性とデータベース管理者の業務負荷に課題があった。
今回、RAIDENにパッチを適用するに当たり、RAIDENの技術支援を行っているアシストの提案を受け、検証用環境として、本番環境のOracle Databaseと同等の機能をクラウドで提供するOracle Database Cloudを導入。併せて、パッチ適用前後のSQL非互換、性能テストの正確性向上、テストの自動化を行うオプション機能「Oracle Real Application Testing」を採用した。
ステージング環境に本番環境のアプリケーションを全て再現し、テスト環境を構築するには多くの工数がかかることもあり、環境構築が簡単で、Oracle Real Application Testingのライセンスも含まれるOracle Database Cloudを採用したという。
その結果、本番適用前のテスト環境を迅速に構築できた他、約1万3000件に及ぶSQLの非互換や性能テストにかかる工数を約40時間で完了し、75%削減できた。また、本番環境のほぼ全てのSQLをテストできたため、テストの網羅性も向上したという。
カブドットコム証券では今後、同環境をパッチ適用前テストの社内標準にする方針。また、網羅性の高いテストが簡単かつ迅速に実施できるようになったことから、パッチ適用を計画的・定期的に実施し、適用頻度を上げることで、システムのさらなる安定稼働を目指すとしている。
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