MSのAI技術の最新情報として「Windows MLアーキテクチャ」や「Azure Sphere」「Project BrainWave」など、PFNの事例や「Chainer MN」「Menoh」など、さらにABCIや「Post K」など、基調講演の注目ポイントをまとめる。
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6月21日、都内でDLLAB Day 2018「深層学習を使いこなす日」が開催された。同イベントは、Deep Learning Labが1周年記念イベントとして行ったもの。Deep Learning Labは、マイクロソフトとPreferred Networksの協業として生まれた「ディープラーニングに関連する、開発事例や最新技術動向を情報発信するコミュニティ」(Deep Learning Labサイト)である。イベントは、基調講演とセッションから成るが、ここでは基調講演の模様をレポートする。
基調講演を行ったのは、以下の3氏(登壇順)。
当初、金出武雄氏(カーネギーメロン大学)が登壇予定だったが、先の関西地区の地震によりご自宅が被災されたとのことで、急きょ、松岡氏が登壇することになった。当日、金出氏は、Skypeであいさつを行った。
最初に講演を行ったのは、日本マイクロソフトの榊原氏(図1)。
「Intelligent Cloud, Intelligent Edge & Real-time AI」とし、マイクロソフトのAI製品関連を中心に講演を行った。同社は、4月のハノーバーメッセに合わせ、Azure、IoT関連の製品を発表した。また、年内に登場するWindows 10の次期アップデートでは、機械学習を利用するための「Windows MLアーキテクチャ」(図2)を搭載する予定だ。
同社は、Azure上で機械学習を利用する「Intelligent Cloud」と、それにつながる「Intelligent Edge」を作り、そこにWindows 10 IoTをベースとするさまざまなIoT機器を動作させ、そこでも機械学習の推論を可能にできるようにするという。また、このために新たに「Azure Sphere」(図3)と呼ばれる組み込み系のプラットフォームを提供する。これは、Cortex-Mクラスの組み込み向けの小さなプロセッサ向けで、Linuxカーネルを応用したものだという。マイクロソフトは、このAzure Sphereを、「Windows 10 IoT Core」(スマートフォンなどに使われているアプリケーションプロセッサクラスを対象)、「Windows 10 IoT Enterprise」(PCクラスのプロセッサ)と合わせることで、広範囲なIoTデバイスをカバーし、「Intelligent Cloud」、「Intelligent Edge」と接続する構想を持っている。
また、クラウド側での機械学習の高速化については、ソフトウェアで構成を変更可能な半導体デバイスFPGA(field-programmable gate array)を使った「Project BrainWave」(図4)を紹介した。
マイクロソフトは、Azureを構成するサーバーにFPGAを搭載(図5)し、これを利用して機械学習を高速化する。Project BrainWaveでは、FPGA同士が直接ネットワークに接続しており、複数のFPGAボード(Catapultと呼ばれる)を連携させることが可能。マイクロソフトによれば、グーグルのTPUよりも5倍も低いレーテンシー(遅延)が実現できたという。
次に登壇したのはPreferred Networks社の西川氏(図6)。
自社の概要を説明した後、Automotive、Healthcare、Factory Robotが主要なビジネスであるとの解説を行った(図7)。これまでに行ってきた協業の例として、正常状態の機械の動作時の振動波形だけを学習させて、異常検出を行ったことや工作機械の熱変位補正をAIで予測、加工精度を40%向上させたことなどを示した。
また、NTTコミュニケーションと国内最大のGPUクラスター(図8)を構築、1024基のNVIDIA Tesla P100で分散深層学習パッケージChainer MNを動作させている。これにより、これまで30分以上かかっていたImageNet-1Kの学習を15分で終了できるとした。
また、新しい試みとして、ONNXで記述されたモデルで高速推論を行う「Menoh」(図9)を発表した。
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