ソラコムは2018年7月4日、同社のイベント「SORACOM Discovery 2018」に合わせ、IoT接続サービスで多数の発表を行った。要点は、より多様な接続技術への対応、IoTを容易に実現する選択肢の追加、IoTライフサイクル管理関連機能の強化にある。
ソラコムは2018年7月4日、同社のイベント「SORACOM Discovery 2018」に合わせ、IoT接続サービスで多数の発表を行った。要点は、より多様な接続技術への対応、IoTを容易に実現する選択肢の追加、IoTライフサイクル管理関連機能の強化にある。具体的には、「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」「SORACOM Krypton」「SORACOM Lagoon」などを発表した。
まず、KDDIの傘下に入ったソラコムは、「SORACOM Air forセルラー」で、KDDIの移動体通信網に対応した「plan-K」を2018年5月に提供開始した。さらに今回は、キャリア通信網を活用する低消費電力無線アクセス技術(LPWA)であるLTE-M(カテゴリーM1)に対応したSIMを、2018年9月に販売開始する。基本料金は1カ月当たり100円。データ通信料金は1KB当たり0.5円。
視覚的に目を引くのは「AWS IoT 1-Click」に対応した「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」。2018年度中に販売開始するという。
Amazonは「Amazon Dash Button」を通じ、ボタンを押すだけで特定商品の注文ができるようにしている。同様なコンセプトをAmazon Web Services(AWS)のIoTサービスである「AWS IoT」に適用するのがAWS IoT 1-Click。IoTを構築しようとするユーザー/組織は、AWS IoT 1-Click対応デバイスを購入してAWS IoTに登録。デバイスからの情報をどのように扱うかをテンプレートから選択するだけで、運用が開始できるというもの。
AWSは自ら「AWS IoT Enterprise Button」を販売しているが、同社は他社に多様な対応デバイスを作ることを働きかけている。米国ではAT&Tが製品を提供。ソラコムは日本で初めて、対応製品を販売する。SORACOM LTE-M Buttonは、上述のLTE-M通信機能を搭載。これにより、Wi-Fiなどで必要となるその場での接続設定なしに、見守りをはじめとした幅広い分野で活用できるという。何よりも、買ってきて登録し、処理を指定するだけで使えるスピード感と簡便さが特徴だ。
ソラコムはまた、IoTデバイスの多様なクラウドへの接続設定を省力化する「SORACOM Krypton」を発表した。クラウドへのデバイス接続登録では、認証鍵のデバイスへの組み込みに関わるプロセスが煩雑で、IoT構築における頭痛の種となっている。デバイスごとに鍵を取得し、さらにデバイス出荷時に1つずつ鍵を埋め込まなければならないからだ。この面倒を払しょくするのがKrypton。デバイスのSIM認証に基づき、クラウドへのデバイス登録を代行、これを受けて認証鍵と接続情報をデバイスに提供する。
なお、関連してソラコムは、認証サービス「SORACOM Endorse」を強化、グローバルSIM( plan01s)では有線接続やWi-Fi経由のSIM認証も実現した。このため、IoTゲートウェイなどでは、有線ネットワークおよびWi-Fi経由のプロビジョニングもできることになる。
「SORACOM Lagoon」は、既存の「SORACOM Harvest」を拡張するサービス。Harvestでは、データの取得回数やサイズに制限はあるものの、SORACOM以外のサービスを使うことなくIoTデバイスからのデータを蓄積・可視化できる。LagoonではHarvestで管理するデータを活用し、単一のグラフを作る、あるいは複数のグラフを並べるといった形でダッシュボードを作成できる。また、一般的なデータ可視化ツール/BIツールと同様、これを他のユーザーと共有できる。また、グラフに設定したしきい値に基づき、電子メールあるいはWebhookなどによるアラート送信が可能。Lagoonは、オープンソースのデータ可視化ツールGrafanaを使っている。
ソラコムは他にも、KDDIの「IoT 世界基盤」への参画、SORACOM FunnelのAmazon Kinesis Video Streamsとの連携による、認証やビデオ形式のフォーマット変換サポート、KDDI/NTTドコモのLTE回線に対応したUSBドングル(従来は3Gにのみ対応)などを発表した。
これらの発表を含めたソラコムのサービスにおける進化については、別記事でも紹介する。
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