IDC Japanがまとめた国内クライアント仮想化市場のユーザー動向調査によると、クライアント仮想化の導入済み企業の55.8%がデジタルワークスペースを導入しており、業務、用途、利用場所は拡張傾向にあった。また、経営課題、ビジネス課題へのデジタルワークスペースの貢献度は約4割にとどまった。
IDC Japan(以下、IDC)は2018年7月17日、国内クライアント仮想化市場の動向について、ユーザー調査を分析した結果を発表した。
同調査は、クライアント仮想化を導入した企業と導入を検討している企業で、IT戦略を立案または承認する立場にある経営層、情報システム部門の対象者(IT管理者、ITスタッフなど)、クライアント仮想化システムを利用するエンドユーザーの計1100人を対象に、クライアント仮想化の導入状況や、契約形態と関連製品に対する取り組み、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連する利用意向に関するアンケート調査を実施したもの。
調査結果によると、クライアント仮想化導入済み企業(回答者550人)では、55.8%が「デジタルワークスペース」を導入していると回答。その業務、用途、利用場所は多岐にわたり、拡張傾向にあることが分かった。
一方、クライアント仮想化の導入を検討している企業(回答者550人)では、39.1%がデジタルワークスペースを検討していると回答している。
これらを受け、IDCでは、企業がそれぞれの業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ていると分析している。
なお、同調査では、デジタルワークスペースを、クライアント仮想をベースに、以下の技術、製品、サービスのいずれかが採用されているものと定義している。
VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ基盤)関連テクノロジーについては、今回の調査対象者全員のうち約3割が「Windows 10 Remote Desktop Modern Interface」「ワークスペースアナリティクスソリューション」「VDIへのAI製品の実装」「Citrix Workspace Hub/Casting」など、次世代のテクノロジーに関心を示していることが分かった。
また、2018年からサービスが開始された「ハイブリッドクラウドDaaS(Desktop as a Service)」に対する利用要望も高まっていることが判明。特に、「データプレーン」はプライベートクラウド、「コントロールプレーン」は(パブリック/プライベート)クラウドDaaSの組み合わせでの利用意向は、39.7%に上ったという。
デジタルワークスペースがユーザー企業の経営課題、ビジネス課題にどのように貢献したかについては、「ガバナンス統治とセキュリティポリシー策定」「動的なIT資産と人材の活用」などの経営課題、ビジネス課題に貢献できたと回答しているIT管理者は4割程度にとどまり、約3割のIT管理者は、その効果を「分からない」と回答した。
これについてIDCでは、従来の課題である「ITと業務」を両輪として認識し、取り組む必要があると指摘。自社に最適なデジタルワークスペースの構築に頭を悩ますIT管理者や、経営課題、ビジネス課題におけるデジタル戦略を描けない経営層が多いことから、そのような企業は組織の再構築を試みるか、実績のある人材を外部から招聘(しょうへい)する必要があるとしている。
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