日本CHO協会は、RPAの導入と活用に関する調査結果を発表した。RPAを導入している企業は半数に満たず、導入しても一部の業務でしか利用されていないなど、課題を抱える企業があることが分かった。
日本CHO協会は2018年10月29日、「RPAの導入と活用に関する調査」の結果を発表。働き方改革や生産性向上に取り組む企業が抱える課題を解決するソリューションとして注目されるRPA(Robotic Process Automation)には課題があるとした。
調査の結果、RPAの導入が効果的でなかったり、導入しても一部の業務でしか利用されていなかったりするなど、課題を抱える企業があることが分かった。まず、RPA自体を半数以上の企業が導入していなかった。具体的には「導入を検討中」が30%、「未導入、未検討」が23%だった。
次に、RPA導入済みの40社に対して、導入しているツールのタイプや、RPAの展開を主導している部門、課題などを聞いた。
導入しているRPAツールのタイプで最も多かったのは「デスクトップ型(各自のPC上で処理)」の34%。「サーバ型(サーバ経由でRPA実行専用PCによる処理)」は27%、「デスクトップ型とサーバ型の併用」は17%だった。
RPAの展開を主導している部門で最も多かったのは「経営企画部門」の17件。「情報システム部門」の16件、「RPA推進の専門部門」の10件、「業務推進の専門部門」と「業務改革部門」のそれぞれ8件が続いた。
RPAの導入や展開方法で最も多かったのは「経営層からのトップダウンによる全社展開」の59%だった。「現場主導による一部の部門内導入(全社レベルの展開には至っていない)」の18%、「管理職からの提案をきっかけにした全社展開」の15%が続いた。
主導する部門と導入方法の結果から、RPA導入はトップダウンから入る場合が多いことが分かる。
RPAの展開に当たっては課題も発生している。最も多かったのは、「対象業務の選定に関する課題」で16件。次いで、「開発人材不足、開発スキル不足」の13件、「運用や統制、ルールに関する課題」の10件、「業務改革に関する課題」の9件が続いた。
日本CHO協会は、CHO(最高人事責任者)とCHO候補者の育成を目指しているため、RPAの導入企業40社に対して人事部門の業務に対するRPAの導入状況を聞いている。
人事部門の業務にRPAを導入している企業は25社だった。内訳は、「出退勤、勤怠管理、労働時間管理」が最も多く12件。次いで「給与計算、社会保険関連」が8件、「採用関連」が5件だった。その他では、人事異動や人件費管理、雇用契約関連、福利厚生関連などがあった。
日本CHO協会による調査期間は2018年10月1〜13日、調査方式はWebアンケート。調査対象は人事部門の取締役、執行役員、部長、課長層の役職者で、いずれも日本CHO協会の会員。回答者数は100人(100社)。
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