2018年6月にパブリックプレビューが開始されたAzureストレージの「静的なWebサイト(Static Web Site)」のホスティング機能が、2018年12月12日に正式にリリースされ、一般提供されました。
「静的なWebサイト」のホスティングは、Azureストレージの新機能であり、ストレージアカウントの種類「StorageV2(汎用v2)」(General Purpose v2、GPv2とも呼ばれます)でサポートされます。
StorageV2は2017年12月ごろから利用可能になった、比較的新しいアカウントの種類であり、現在は推奨されるアカウントになっています。StorageV2の提供以降、Azureストレージの新機能は、今回のようにStorageV2に対して追加されるようになりました。
既存のアカウントの種類「Storage(汎用v1)」のストレージアカウントは、ストレージアカウントの「設定」にある「構成」ページから、簡単にStorageV2にアップグレードできます。
「静的なWebサイト」によるホスティングを利用するには、StorageV2のストレージアカウントを作成し、「静的なWebサイト」ページで「有効」に切り替えて、既定のインデックスページ(index.htmlなど)やエラーページ(error.htmlなど)を指定して設定を保存するだけです(画面1)。
「静的なWebサイト」を有効にすると、エンドポイントのURLが割り当てられて、Azureストレージ内の静的なWebコンテンツにhttpsプロトコルでアクセスできるようになります。静的なWebコンテンツの配置先となるルートパスは「BLOB CONTAINERS\$web」に用意されるので、「Storage Explorer(プレビュー)」機能やAzureストレージがサポートするその他の方法でコンテンツを配置できます(画面2、画面3)。
なお、「静的なWebサイト」をカスタムドメインでホスティングすることも可能ですが、その場合はAzure Content Delivery Network(CDN)の料金が必要になります。
Microsoft Azureには、WebサイトやWebアプリケーションのホスティングを可能にするPaaS(Platform as a Service)サービスである「Azure App Service」(Web Appsなど)があります。こちらは、Windows Serverベースの.NET、Java、Node.js、PHP、Pythonのランタイム環境、またはLinuxベースの.NET Core、Node.js、PHP、Rubyのランタイム環境を提供するもので、Visual Studioなどの開発ツールとの連携も可能です。もちろん、静的なWebサイトのホスティングも可能です。
Azureストレージの「静的なWebサイト」が提供するメリットは、追加コストなしで、Azureストレージの使用料だけで利用できるということです。クライアントサイドで動作するJavaScriptを利用すれば、Webアプリをホスティングすることも可能です。Azure App Serviceにも無料のプランがありますが、運用環境での利用を想定したものではありません。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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