AppleのOS向け開発言語「Swift 5」が登場ABIが安定化、新機能を多数提供

Appleの「iOS」や「macOS」「tvOS」「watchOS」で動作するアプリケーションの開発に向くオープンソースのプログラミング言語の最新版「Swift 5」が登場した。

» 2019年03月29日 11時30分 公開
[@IT]

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 オープンソースのプログラミング言語の最新版「Swift 5」が2019年3月25日(米国時間)、正式にリリースされた。Swift 5を使うと、Appleの「iOS」や「macOS」「tvOS」「watchOS」で動くアプリケーションを開発できる。

 Swift開発チームによれば、今回のバージョンは、「Swiftの進化の大きなマイルストーン」だという。Swift 5の概要は次の通り。

安定したABIとバイナリ互換性

 Appleプラットフォーム上におけるSwift 5のABI(Application Binary Interface)の安定性が宣言された。

 これにより、Swiftのライブラリが今後のmacOSやiOS、tvOS、watchOSの全てのバージョンに含まれることになった。その結果、アプリのビルドが容易になり、サイズも小さくなる。OSに含まれるライブラリを利用できるからだ。

標準ライブラリの更新

 Swift 5の標準ライブラリでは、次のような新機能が提供される。

  • 文字列の優先エンコーディングをUTF-16からUTF-8へStringを切り替えた。これはコードの高速化につながることが多い
  • 文字列リテラルにおけるrawテキストのサポートを改善
  • エラー処理に役立つResult型とSIMD演算に役立つ型の追加
  • 実行時に作成された複雑な文字列を表現する文字列補完の改善
  • Dictionary型とSet型関連のパフォーマンス向上
文字列エンコーディングの改善(出典:Swift Blog

コンパイラの動作変更と糖衣構文の追加

 Swift 5では、デバッグとリリースビルドにおいて、デフォルトで排他的メモリアクセスが強制されるようになった。

 Swift 5は動的呼び出し可能(Dynamically callable)型を糖衣構文(シンタックスシュガー)としてサポートした。これはPythonやJavaScript、Rubyといった動的プログラミング言語との相互運用性の向上に役立つ。

パッケージマネジャーの更新

 Swift 5では、Swift Package Managerにも多くの新機能を導入した。例えば、依存関係のミラーリングやターゲット固有のビルド設定、カスタムデプロイターゲット、コードカバレッジデータの生成などがある。

 「swift run」コマンドも、実行可能ファイルをビルドすることなく、対話型のREPL(Read-Eval-Print-Loop)でライブラリをインポートできるようになった。

Swift 5の互換性と移行手順

 Swift 5は、Swift 4やSwift 4.1、Swift 4.2とソースコードの互換性が保たれている。

 Swiftの従来バージョンからSwift 5への移行をサポートするため、Appleの統合開発環境「Xcode 10.2」には、必要なソースコード変更の多くを自動的に処理するコード移行ツールが含まれている。移行ガイドも用意されている。

開発プラットフォーム

 Linux上でSwift 5を用いた開発を進められるよう、Ubuntu 14.04/16.04/18.04用の正式なバイナリをダウンロードできるようになった。

 Appleプラットフォーム上で開発する場合、Swift 5はXcode 10.2の一部として入手できる。ツールチェーンもSwift.orgからダウンロード配布されている。

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