IBMによるRed Hatの買収は、OpenShiftの製品戦略に影響を与えるのか「コンテナプラットフォーム」の次は?(2/2 ページ)

» 2019年10月02日 05時00分 公開
[三木泉@IT]
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 「GoogleがKubernetesプロジェクトを始めたころは、拡張性、セキュリティ、企業にとっての使い勝手などで、足りない部分がたくさんあった。そこでRed HatはRBAC(ルールベースのアクセス権制御)やマルチテナント機能、ネットワーク分離、ストレージプラグインなどで、多くのコントリビューションを行ってきた。だが、4年ほどが経過し、Kubernetesはプラットフォームとして安定した存在になってきた。今後、大幅な修正が加えられることはないだろう。

 そこで私たちはコアに関するトップコントリビューターであり続けながらも、最近では2つの点に力を入れてきた。

 1つはこのプラットフォームの運用を管理するための、新たな方法を提供することだ。「Kubernetesのインストールをどこまで容易にできるか」「どうやってKubernetesを最新の状態に保てるか」「どうやって新たなパッチや新バージョンを適用するか」、さらに「運用管理全般をどうやりやすくするか」といったことだ。顧客がどこでKubernetesを動かしたいとしても、容易に運用できなければ、皆Kubernetes運用代行サービスに行ってしまうからだ。そこで新たなインストーラーを開発し、OTA(Over-the-Air)的なアップデートモデルを構築し、Prometheusを使ったモニタリングを整備し、CoreOSを取り込んだ。

 もう1つは、Kubernetesの上に新たなレイヤーを構築することだ。これが先ほど話したKnativeや、Istio、Tektonに関する取り組みにつながっている。この点でもう1つ重要なのはOperators Frameworkだ。ますます多様なワークロードを、Kubernetes上で動かしたいというニーズが広がっている。ステートフルなワークロード、データベース、メッセージング、アナリティクス、GPUサービスなどだ。Operatorはこうしたワークロードを可能にするソフトウェアの活用を容易にしてくれる。この新たなレイヤーで多くのイノベーションが起こっており、新たな競争分野になりつつある。

 最終的には、Linux上で動いている全てのものが、KubernetesおよびOpenShift上で動くようにしていきたい。これまで15〜20年をかけて、Linuxはあらゆるものを動かせるように進化してきた。今後5〜10年で、同じことをKubernetesで成し遂げたい。これによって自動化や可搬性(ポータビリティ)など、多くのメリットをもたらすことができるからだ」

OpenShiftはいつ、「アプリケーションプラットフォーム」と呼ばれるようになるのか

 Red Hatは現在、OpenShiftを「エンタープライズコンテナプラットフォーム」あるいは「エンタープライズKubernetesプラットフォーム」と表現している。では、いつこれを「エンタープライズアプリケーションプラットフォーム」と呼ぶようになるのだろうか。

 そう聞くと、フェルナンデス氏は「ちょうど『ハイブリッドアプリケーションプラットフォーム』という表現をし始めようとしているところだ」と答えた。

 「OpenShiftは元々PaaS(Platform as a Service)だったが、OpenShift 3.0で、Kubernetesを中核とした製品に生まれ変わった。新たなOpenShiftでは、コンテナによって多様なワークロードを動かせることが、大きなメリットの一つだ。例えば、仮想マシン環境(や物理サーバ環境)で動かさなければならないとこれまで多くの人が考えてきた既存アプリケーションも、リフトアンドシフトでOpenShiftに載せられる。何かと制限の多い従来型のアプリケーションプラットフォームやPaaSとは異なるという点を強調するため、これまで『Kubernetesプラットフォーム』あるいは『コンテナプラットフォーム』と呼んできた。だが、今となっては、このことを訴える必要がなくなってきた。結局、コンテナやKubernetesよりもアプリケーションのほうが重要であり、アプリケーションをハイブリッド環境で動かせることに価値がある。私たちは、今後OpenShiftに、『ハイブリッドアプリケーションプラットフォーム』という位置付けを与えていく必要がある」

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