多数の事例取材から企業ごとのクラウド移行プロジェクトの特色、移行の普遍的なポイントを抽出する本特集「百花繚乱。令和のクラウド移行」。ナビタイムジャパンの事例では、Google Kubernetes Engine移行時のポイントを中心にお届けする。
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ナビタイムジャパンではバス向けサービス「バスNAVITIME」で2017年6月から「Google Kubernetes Engine(GKE)」を採用し、オンプレミスとのハイブリッドアーキテクチャで運用している。ナビタイムジャパン 開発部 シニアエンジニア 萱島克英氏が「Google Cloud Next in Tokyo」(2019年7月30日〜8月1日開催)の講演「モダンアーキテクチャ採用によるアジリティの獲得」で語った内容から、クラウド移行の狙い、その際の課題と解決策を見ていく。
「経路探索エンジンの技術で世界の産業に奉仕する」を経営理念に「NAVITIME」をはじめとするさまざまなナビゲーションサービスを展開するナビタイムジャパン。従業員数は約540人で、正社員の80%はエンジニアというテクノロジー企業だ。
1996年に経路探索エンジンのライセンスビジネスを開始し、1998年に世界初の電車、飛行機、クルマ、徒歩などの移動手段に対応したトータルナビゲーションを完成。2000年に法人を設立してからは「PC-NAVITIME」「ビジネスナビタイム」などのサービスを展開してきた。B2C(Business to Customer)向けサービスのイメージが強い同社だが、B2B(Business to Business)向けにも事業を拡大しており、動態管理ソリューションや訪日外国人向けナビゲーションサービス、ヘルスケアサービスなども展開する。
これらサービスの月間ユーザー数は約5100万人、有料会員数は約480万人に及ぶ(2018年9月末時点)。バス向けサービスの「バスNAVITIME」では、2017年6月から「Google Cloud Platform(GCP)」を採用。具体的にはバックエンドシステムをGKEで構築している。
「それまでオンプレミスで運用していたバックエンドシステムをGKEに移行し、ハイブリッド構成を採用しています。リソースの比率はオンプレミスが1割に対してGKEが9割となっています」(萱島氏)
同社はなぜハイブリッドなアーキテクチャを採用したのか。萱島氏はその理由として「複数サービス間でアカウントやユーザーデータを連携させること」「会社の方針としてユーザー用データベースをオンプレミスに配置しておくこと」の2つを挙げた。
「ユーザーデータベースをオンプレミスに残しておき、その前段にクラウドで処理を行うAPIサーバを用意。さまざまなサービスからAPIサーバを経由してユーザーデータベースにアクセスする仕組みです。全文検索(Apache Solr)や経路検索など、約15のサービスがあり、Nodeの数は40〜50といった規模感です」(萱島氏)
またクラウドに移行した理由としては「リードタイムの短縮」と「サーバリソースのオートスケール」の2つがあったと説明する。
「これまで新規にサービスを立ち上げようとするとプロビジョニングに2カ月くらいかかっていました。GKEを使うことでアプリケーションのコンテナ化とインフラ管理のコード化ができ、プロビジョニングにかかる時間の短縮を目指しました。また、公共交通機関が乱れたときはサーバに大量のアクセスが発生します。そこでオートスケールでサーバリソースを拡張できるようにしました」(萱島氏)
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