Microsoftは、オープンソースの統計処理言語の最新版「R 3.6.2」の公開と、次期メジャーバージョン「R 4.0.0」の主な新機能について、同社のRコミュニティーブログで紹介した。
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Microsoftは2019年12月13日(米国時間)、プログラミング言語「R」の最新版「R 3.6.2」について同社のRコミュニティーブログで紹介した。Rは、統計処理と処理結果のグラフィックス表示に向いたオープンソースの言語。併せて次期メジャーバージョン「R 4.0.0」の主な新機能についても触れた。
R 3.6.2は、既存リリースに小規模な改良を加えたマイナーリリース。WindowsやmacOS、Linuxで利用できる。
主な改良点は、ドットチャートに新しいオプションを加えたことや、グラフをスムーズにするためにメディアン法を使用する際に課題となる欠損値の処理を改善したことなどだ。加えて、幾つかのバグを修正し、処理性能を改善した。
一方、R 4.0.0では大きな変更が加わる予定だ。Rは、安定したβ版が公開されてから、2020年2月29日に20周年を迎える。それから間もなく、R 4.0.0がリリースされる見込みだ。Rの開発者であるR CoreチームはR 4.0.0の一部の新機能を予告している。概要は次の通り。
Rでオブジェクトを削除すると、通常、関連するメモリを解放する。同様に、「y <- x」でオブジェクトをコピーすると、xを後に変更するまで、Rはyに新しいメモリを割り当てることはしない。
Rの現行バージョンでは、メモリブロックへの参照数が2を超えると、システムがダウンする。だが、R 4.0.0からは、全ての参照をカウントするように変える。これにより、Rはメモリをいくらでも再利用できるようになり、全体としてメモリ使用量が減少する。
このように変更しても、Rコードの記述方法には影響しない。その一方で、メモリが少ないシステムや、ストレージが低速なシステムでは、速度が顕著に向上する。
行列は概念上、2次元配列にすぎないといえる。だが、Rの現行バージョンは、行列と2次元配列オブジェクトで、扱いが異なる場合がある。R 4.0.0では、行列オブジェクトが正式に配列クラスから継承されるようになり、こうした非一貫性を解消できる。
Rの現行バージョンのグラフィックパレット(図中のR3)は、明るさが非常に異なる飽和色を含んでいる(例えば、黄色は赤ほど目立たない)。R 4.0.0では、「R4」パレットを使用することで、色の輝度が一貫するようになり、色の区別が容易になる。色覚障害者にはその恩恵が特に大きいという。
さらに、追加のパレットを用意したことで、ggplot2や他のグラフィックシステムのカラースキームとマッチする基本グラフィックチャートを作りやすくなる。
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