Mozillaは、Web上での科学コミュニケーションや探索が可能になる実験ツール「Iodide」のα版を公開した。R Markdownに慣れていればすぐに使いこなすことができるという。
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Mozillaは2019年3月12日(米国時間)、科学コミュニケーションと探索のためのWebブラウザ向け実験ツール「Iodide」(α版)を公開したと発表した。
Iodideの目的は、自然科学者や社会科学者が慣れ親しんだ環境、つまり「Jupyter Notebook」や「RStudio」「MATLAB IDE」といったツールが使える環境で、複数の参加者による反復的なワークフローに基づいた作業ができるようにすることだ。Iodideを使う科学者は、Webベースの科学コミュニケーションやコンピュテーションを利用しやすくなるという。
MozillaがIodideを開発した問題意識は、次のようなものだという。共有可能なインタラクティブデータの可視化やアクセスしやすいビジュアルな記事を通じて、科学のアイデアをやりとりするための比類ないプラットフォームを、Web技術で提供することだ。現在のモダンなWeb開発は、ほとんどの科学者にとってスピードに欠け、面倒で、取り組みにくいという。
Iodideは、プロトタイピングや実験のためのWebプログラミングツールとしても利用できる。だが、他の多くのツールとは異なり、整理された“レポート”をユーザーが簡単に作成、共有できることに重点を置いている。Mozillaによれば、レポートとは「他人に見せることを前提とした十分にデザインされたものであり、コードなど注意をそらす他のUI要素が混じっていないドキュメント」だという。
R言語の「R Markdown」を使い慣れたユーザーは、Iodideを使うワークフローにもすぐに慣れるだろうと、Mozillaは説明している。Iodideのワークフローでは、コードとテキストをドキュメント内で自在に組み合わさることができるが、最終出力は、きれいに整形されたドキュメント(レポート)になる。
R Markdownの場合、最終出力は通常、PDFだ。Iodideでは、最終出力が完全にインタラクティブなWebドキュメントとなり、作成したライブJavaScriptやWebAssemblyによる他の言語を実行でき、Webブラウザの全ての機能へのフルアクセスできる。さらに、R Markdownで生成されるPDFとは異なり、ユーザーと共同作業者は、1クリックでコードに戻ることができ、更新やリミックスを思いのままに進めることができる。
新しいIodideノートブックを開くと、デフォルトではIodideのexplore(探索)ビューが表示される。左に編集ペイン、右にレポートプレビューペイン、コンソールペインが配置されている。
IodideのWebサイトでは、こうした特徴を踏まえ、Iodideを使えば、「Webブラウザの中だけでデータサイエンスができる」とうたっている。さらに同サイトでは、Iodideのメリットを次のようにまとめている。
IodideのWebサイトでは、次のようなIodideの使用例も紹介されている。いずれもインタラクティブに動作する。
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