ソフォスが発表した2020年版の脅威レポートでは、ランサムウェア攻撃者による自動化されたアクティブ攻撃や、マルウェア化する迷惑アプリなどを、2020年以降のサイバー脅威に影響を与えると予想される要因として挙げた。
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ソフォスは2019年12月20日、2020年版の脅威レポートを発表した。これは、Sophos Labsの研究チームが作成したレポートで、過去12カ月間の脅威の変化から、2020年のサイバーセキュリティへの影響を分析した。
同レポートは、2020年以降のサイバー脅威に影響を与えると予想される要因として、以下の4つを挙げている。
この攻撃は、企業の管理ツールを攻撃ツールに変化させる。それによってセキュリティコントロールを回避し、バックアップを無効化する。
これまでの1年間に、サブスクリプションを悪用するAndroid向けのフリースウェア(fleeceware:金を巻き上げる、だまし取るソフトウェア)や、ステルス性の高い攻撃的アドウェアが登場した。2020年にはこれらに加えて、WebブラウザのプラグインなどのPUA(Potentially Unwanted Application:潜在的に迷惑なアプリケーション)を介して配信されるマルウェアやファイルレス攻撃に注意が必要だとしている。
ソフォスはこれを、「クラウドコンピューティングの最大の脆弱(ぜいじゃく)性だ」と指摘している。クラウドシステムがより複雑化し柔軟になるにつれて、設定ミスのリスクが高まる。同社は「クラウドコンピューティング環境がサイバー攻撃者にとって格好の標的になる」としている。
ソフォスは、これが攻撃にさらされると予測する。2019年には、機械学習を活用したセキュリティシステムに対する攻撃の可能性が注目された。同社によると、機械学習検出モデルは攻撃者にだまされる恐れがあることや、ソーシャルエンジニアリングを目的とした極めて本物に近い偽コンテンツの生成に機械学習が応用されることが明らかになったという。その一方で防御側は、悪意のある電子メールやURLを検出するのに機械学習を活用している。ソフォスは、こうした高度な攻防戦が、今後さらに拡大すると見ている。
さらに脅威レポートでは、インターネットスキャンの範囲が広がったためにサイバー犯罪者の偵察活動がノイズに隠れて発見できなくなる危険性や、RDP(Remote Desktop Protocol)が継続的に攻撃を受ける可能性にも言及している。
ソフォスのシニアセキュリティアドバイザーを務めるJohn Shier氏は、「『2020年版脅威レポート』では、現在の傾向が今後1年間で世界にどのような影響を及ぼすのかを検証した。攻撃者がクラウドやモバイルアプリ、ネットワークに関して、いかにしてステルス性を高め、ユーザーの過ちを巧妙に悪用し、自らの活動を隠し、検出技術を回避するのかなどの点に焦点を当てた」と述べている。
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