Google Cloudが2020年3月5日、5G/エッジに向けた新たな戦略を発表した。5Gネットワークエッジコンピューティングでは「Anthos for Telecom」を発表、マルチクラウドのコンテナ環境を推進していくという。同社は、既にMicrosoftとの提携を発表しているAT&Tと、エッジソリューションを共同開発していることを明らかにした。
Google Cloudが2020年3月5日、5G/エッジに向けた新たな戦略を発表した。5Gネットワークエッジコンピューティングでは「Anthos for Telecom」を発表、マルチクラウドのコンテナ環境を推進していくという。同社はまた、AT&Tとエッジソリューションの共同開発で提携していることを明らかにした。
Google Cloudの新たな5G/エッジ戦略では、通信事業者によるマネタイズ支援とコスト効率の向上がテーマ。通信関連ソフトウェア/サービス企業などとの連携でマーケットプレイスを整備する一方、通信事業者の顧客拠点、通信事業者のエッジ/拠点、Googleのエッジ、Google Cloudのリージョンをユースケースに応じて組み合わせる。そしてこれらを活用し、通信事業者、関連ベンダーと共同で、ソリューションを迅速に構築していくと、同社エンジニアリング担当バイスプレジデント、エイヤル・マナー(Eyal Manor)氏は説明した。
これと関連して通信関連企業では、Amdocs、Netcrackerとの提携を発表した。
Google Cloud側では、機械学習/AI関連サービスなどと連携する。また、通信事業者のカスタマーサービスの効率向上につながるものとして「Contact Center AI」を推進する。さらにAndroidやStadiaなど、Googleの他部署との連携で包括的な支援が可能という。
Google Cloudは特に、分散エッジの基盤を提供できる点を、自社の優位性として強調する。まず、22のリージョンに加え、130以上のエッジPOP(Point of Presence)を持つ。加えて数千のエッジノードを、通信事業者のネットワークに展開している。これらのエッジノードを、通信関連企業と協力して「商品化」していくという。
「マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)」の基盤としてGoogle Cloudは、Kubernetesを使ったマルチクラウドコンテナプラットフォームである「Anthos」を通信業界向けに最適化した、「Anthos for Telecom」を発表した。今後数カ月中にプレビュー版の提供を始めるという。Anthos for Telecomは、既に提供済みのAnthosを、低遅延性能などの面で強化したものという。
MEC関連では、Amazon Web Services(AWS)が「AWS Wavelengh」を、Microsoftが「Azure Stack Edge」(あるいはこれに相当するもの)を使ったソリューションを既に発表している。これらはコンピューティングリソースを、ソフトウェア/ハードウェア一体型で通信事業者のエッジ拠点(あるいは集約拠点)に設置し、クラウドサービスと連携する形態だ。
これに対しAnthosはコンテナ環境であるため、通信事業者は、クラウド事業者の持ち込むハードウェアを必ずしも使うことなく、理屈の上では自社のエッジ拠点を構成するITインフラ上に導入できる。Anthosはこれまで、VMware vSphere上での利用をサポートしてきたが、Anthos for TelecomではOpenStackにも対応する可能性がある。
AT&TとGoogle Cloudは、工場設備、小売業の店舗管理、Stadiaなどのオンラインゲーミング、自律運転ドローン、自動運転車などのユースケースで共同ソリューションを開発中だとマナー氏は話した。
しかし、AT&TはMicrosoftと、5Gエッジコンピューティングで広範な提携を結んでいる。そこで、「なぜAT&Tは同一のテーマで、主要パブリッククラウド2社と提携するのか」と聞いてみた。
マナー氏は、「AT&Tは選択肢を必要としている。一般的な大組織と同様に、同社もマルチクラウドが欲しいと言っている」と答えた。
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