そして、次に控えているのがAQUAです。2019年12月の発表以来、AWSは限定顧客に対するプレビュー版の提供を続けています。
AQUAではRedshiftの演算ノードとAmazon S3の間に、FPGAを使ったAWS独自のアナリティクスプロセッサとハードウェアによる高速化機能、SSDキャッシュを備えた層、「AQUAノード」を挟み込んでいます。
AQUAノードは、Redshiftのクエリを分担して処理します。独自プロセッサにより、圧縮、暗号化、フィルタリング、アグリゲーションといった作業を高速化します。
アナリティクスで「コンピュート(演算処理)とストレージの分離」が語られるとき、通常は汎用コンピュータ、汎用CPUの活用が暗黙の前提となっていることがありますが、AWSはハイエンドなニーズに応えるために独自のハードウェアを投入しようとしています。
独自のハードウェアによって究極的な差別化を図るというやり方は、既述のエッジへの取り組みにも似ているところがあります。
データベースでは、「Amazon Aurora」でマルチマスター構成に対応しました。2020年5月7日(米国時間)より、東京を含む8つのリージョンで使えるようになりました。
Auroraは、AWSにおけるリレーショナルデータベースサービスの一つで、MySQL、PostgreSQLと互換性があります。「フルマネージド」、つまり初期の構成、バックアップからパッチ当てまで、ユーザーは作業を行う必要がありません。
AuroraでAWSは、低コスト、高パフォーマンス、拡張性の高さ、高可用性をうたっています。拡張性については、リードレプリカ(読み込み専用の複製)を15まで追加できるとしています。可用性の点では、3つのアベイラビリティゾーン(AZ)にわたる6つのノードへの並行的な書き込みが行われ、リージョン内で6つの複製を維持します。また、Amazon S3への継続的なバックアップが自動的に行われます。
今回のマルチマスター構成は、MySQL版のAuroraで実現したものです。クラスタ内の全ノードが書き込みに対応できるようになりました。これはAuroraにおける可用性向上のための選択肢を増やすものであり、書き込みのスループットを向上するものではないとしています。
「AWS Migration Hub」は、社内アプリケーションの、AWSへの移行状況を一括して可視化する機能です。世界中のどのリージョンへの移行も集中的にトラッキングできます。この機能が、東京リージョンに対応しました。
Migration Hubではまず、AWSの検出ツールで移行候補となるサーバを自動的に検出でき、この情報に基づいてサーバをアプリケーション単位に分類できます。その後、評価プロセスを走らせると、移行先としてAWSが勧めるAmazon EC2インスタンスの選択肢が示されます。
さらに、AWSあるいはサードパーティーの移行ツールと連携し、進行状況に関する情報を取り込んで管理できます。移行ツールとしては、「AWS Server Migration Service」「AWS Database Migration Service」「RiverMeadow Server Migration SaaS」「CloudEndure Migration」に対応しています。
2020年6月3日には、「AWS CloudEndure Managed Factory」というソリューションの提供を開始しました。これはCloudEndure Migrationを利用する顧客向けで、CloudFormationのテンプレートを通じ、EC2インスタンスをはじめとしたAWS側のリソースの初期設定や構成が自動的に行えます。
また、AWSは2020年7月1日、コンテナ化によるクラウド移行ツールとして、「App2Container」を発表しています。App2Containerでは、.NETやJavaの既存アプリケーションについて、移行対象を指定するだけで、アプリケーションアーティファクトとランタイム依存関係をコンテナイメージにパッケージ化できます。
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