クラウド型グループウェアの利用やテレワークなど企業ネットワークのトラフィックを急増させる要因が増えている。その対応のためネットワークの中心であるデータセンターは回線の増速や増設を迫られる。だが、時代遅れな固定回線をデータセンターに引くのはもう止めたいものだ。クラウドの利用を考えよう。
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キャリアが提供する光ファイバーを使った固定回線ほど時代遅れなサービスはない。新たな回線を引こうとすると申し込みから開通まで早くて1カ月、普通は2〜3カ月かかる。既にある回線を300Mbpsから1Gbpsに増速する場合でも2〜3週間は必要だ。これだけ変化が速く、トラフィックの増加が速い時代に30年前と同じ対応しかできないのだ。今回はデータセンターに回線を引くことを回避する方法について述べたい。
「データセンターに新たな回線を引くのは嫌だ」と思ったのはキャリアAの固定回線を使ったVPN(仮想プライベートネットワーク)とキャリアBの閉域モバイル網を組み合わせて使うことを検討したときだ。連載第3回「働き方改革から災害対策まで『閉域モバイル網』を徹底活用しよう!」で書いた通り、閉域モバイル網は今後の企業ネットワークでメインのネットワークにふさわしいサービスだ。
本来は図1のようにキャリアVPNと閉域モバイル網は同じキャリアのサービスであることが望ましい。同一キャリアなら、固定系VPNと閉域モバイル網の接続はキャリアの回線網内で行われるため、ユーザーが接続のための回線を用意したり接続部分の帯域幅を気にしたりする必要はない。キャリアがトラフィックに応じた十分な帯域幅を確保するからだ。
だが、固定系VPNを提供しているキャリアAの閉域モバイル網のサービス内容よりもはるかに優れた閉域モバイル網があったらどうだろう? アフターコロナの時代、テレワークに最適な閉域モバイル網はより重要になり、ユーザー数も増える。少しでも良いサービスを選択したいと考えるのは当然のことだ。
そこで、キャリアAの固定系VPNとキャリアBの閉域モバイル網を組み合わせて使うことを考えた。両者をデータセンターで接続する。すると図2のように閉域モバイル網を接続する固定回線を新設し、既設の回線は閉域モバイル網との通信が加わるので増速する必要がある。運用が始まれば常に回線を流れるトラフィックを監視し、回線利用率が高くなれば増速しなければならない。だがデータセンターに回線を引くと運用負担は増える。何らかの事情で閉域モバイル網のトラフィックが急に増えたとしても増速には、2〜3週間もかかってしまう。
データセンターに新たな固定回線を引くなど、やらずに済ますに越したことはないのだ。
データセンターに固定回線を引かないために筆者が考えたのが、クラウドをネットワーク接続のコネクタとして使う方法だ。図3では「Amazon Web Services(AWS)」を使った例を示す。
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