VMwareがNVIDIAと、AIおよびSmartNICで統合ソリューションを開発VMworld 2020

VMwareとNVIDIAがVMworld 2020で、AIおよびSmartNICに関する提携を発表した。両社は統合ソリューションを開発し、推進する。最終的な目的は、開発者がインフラを自由に使える環境を作ることだという。

» 2020年09月30日 09時00分 公開
[三木泉@IT]

 VMwareとNVIDIAは2020年9月29日(米国時間)、VMwareの年次イベント「VMworld 2020」で、2つの側面から統合ソリューションを推進すると発表した。

 第1に、「あらゆる企業が既存インフラをAIに向けて拡張し、データセンター、クラウド、エッジを問わず、自社にとって重要なデータが存在するあらゆる場所に、AI対応のインフラを展開できるようにする」とプレスリリースでは述べている。

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 機械学習ライブラリやツールキット、訓練済みモデルなど、GPUによる高速化を組み込んだAI関連ソフトウェア群である「NVIDIA NGC」を、「VMware vSphere」「VMware Cloud Foundation」「VMware Tanzu」といった製品に組み込む。GPUの周辺技術、「GPU Direct」「GPU Direct Storage」「NV Link」などを検証し、VMwareプラットフォーム上でAIアプリケーションを高速に動かせるようにしていくという。

特にVMwareのKubernetes環境「VMware Tanzu」におけるGPU活用を容易にすることを狙っている

 また、両社は統合ソリューションを共同で推進していく。ただし、具体的にどのような製品形態にするかは決まっていないという。

 なお、GPU仮想化は、vSphere上では活用できるものの、Kubernetesオーケストレーションとの連携による複数コンテナ間でのGPU共有はまだ実現していない。これについてNVIDIAのエンタープライズコンピューティング責任者、マニューヴ・ダス(Manuvir Das)氏に聞いたところ、「一般的に考えられている以上に進展している。間もなく提供できるだろう」と答えた。

 vSphere仮想マシン間でGPUを共有し、特定マシン上の複数コンテナからそのリソースを活用することは現時点でもできる。こちらについては以前「Project Pacific」と呼んでいたvSphereやCloud FoundationとVMware Tanzuの運用連携が実現したため、ITインフラ担当者はvSphere Clientを用い、AIエンジニアに対して容易にGPUを提供できるようになっているという。

 第2の提携は、別記事で紹介した「Project Monterey」に関するもの。Mellanoxを買収したNVIDIAは、SmartNICのベンダーとしてVMwareと協力し、ESXiのI/O関連機能のオフロードを進める。こちらは、2社のみで独自に行うことはない。DPDK(Data Plane Development Kit)をはじめとした標準的なAPIを活用しながら、SmartNIC各社は共通のやり方で、VMwareのパイパーバイザとの連携を深める。なお、SmartNIC各社はVMwareと物理サーバの管理でも連携。これにより仮想マシンと物理マシンのライフサイクル管理を統合できるようになるという。

I/O高速化や付加価値機能に加え、仮想化ホストと物理サーバの統合管理も実現するという

 上記の2つの取り組みを通じてVMwareが目指すのは、「アプリケーション指向のインフラ」だと、同社のシニアバイスプレジデント兼クラウドプラットフォーム事業部門ゼネラルマネージャー、クリシュ・プラサッド(Krish Prasad)氏は話した。

 「アプリケーション指向のインフラとは、開発者が自身のアプリケーションに必要な環境を定義できるようにすることだ。アクセラレーターやメモリ、ネットワークなどを、開発者自身がこうした環境へ自由にひも付けられるようにしたい。開発者がリソースを使い終わったら、自動的にリソースプールへと戻っていく。これが長期的に私たちが目指す方向性だ」

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