「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、実行中の共通言語ランタイム(CLR)タスクに関する情報の出力について解説します。
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本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は「sys.dm_clr_tasks」の、実行中の共通言語ランタイム(CLR)タスクに関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2008以降です。
CLR統合により作成されたオブジェクトを実行すると、CLR実行用のタスクが作成されます。「sys.dm_clr_tasks」を使用すると、実行中のCLRタスクの情報が出力されます。「sos_task_address」列や「appdomain_address」列が存在するため、以前に紹介した「sys.dm_clr_appdomains」などと結合させることで、他にも情報を参照できます。
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
task_address | varbinary(8) | CLRタスクのアドレス |
sos_task_address | varbinary(8) | 基になるTransact-SQLバッチタスクのアドレス |
appdomain_address | varbinary(8) | このタスクが実行されているアプリケーションドメインのアドレス |
state | nvarchar(128) | タスクの現在の状態 |
abort_state | nvarchar(128) | Abortされた際の状態 |
type | nvarchar(128) | タスクの種類 |
affinity_count | int | タスクの関係 |
forced_yield_count | int | タスクが強制的に解放された回数 |
CLR統合のタスクを何も実行していない状況でも、アプリケーションドメインのアンロードとファイナライズ用の「E_TYPE_ADUNLOAD」と「E_TYPE_FINALIZER」というタイプのタスクが動作しています(図1)。
CLR統合により作成した関数などを実行すると、「E_TYPE_USER」というタイプのタスクが追加されていることが確認できます(図2)。
ここで表示されるタスクのアドレスは他の動的管理ビューなどと結合することができるため、「sos_task_address」列と、後日紹介する「sys.dm_exec_requests」の「task_address」列を結合すると、タスクが実行されている「session_id」などを出力できます(図3)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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