AIシステム市場は2025年に2040億ドル超に、IDC予測2021〜2025年の年平均成長率は24.5%

IDCによると、世界のAIシステム支出は2021年に853億ドルに達し、2025年には2040億ドル以上へと増加する見通しだ。2021〜2025年の年平均成長率は24.5%になるという。業種別やユースケース別、技術別、地域別の展望も示した。

» 2021年09月02日 16時00分 公開
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 IDCは2021年8月30日(米国時間)、世界のAIシステム支出が2021年に853億ドルに達し、2025年には2040億ドル以上へと増加するとの見通しを発表した。AIシステム支出について、2021〜2025年の年平均成長率は24.5%になるという。

 あらゆる業種の企業や組織が、顧客に関する優れた洞察や従業員の効率アップ、イノベーションの加速などによる競争優位の実現を目指し、AI投資を増やしていると、IDCは述べている。

 IDCのAIおよび自動化リサーチ担当グループバイスプレジデントであるリツ・ジョティ氏は、AIの導入状況を次のように説明している。「現在は、既存業種の効率を最適化する商用アプリケーションの開発に関するAIノウハウが注目されている。AIの導入が加速し、スマートで直感的なML/DL(機械学習/ディープラーニング)アルゴリズムが増えれば、新しい産業やビジネス分野が興り、ビジネスを収益化する新しい機会が生まれるだろう」

 IDCはAI市場の今後の動向を、業種別やユースケース別、技術別、地域別の観点から展望している。

業種別に見たAI市場

 業種別では、小売りと銀行の2業種のAIソリューション支出が今後5年間、最も多くなる。

 小売業界のAI支出では、顧客サービスの自動化やレコメンデーションエンジンによって顧客エクスペリエンスを向上させるソリューションに重点が置かれる。

 銀行業界のAI投資の多くは、自動脅威インテリジェンスと詐欺分析アプリケーションによるリスク軽減に振り向けられる。

 3番目にAI支出が多い組み立て製造業では、主に品質管理と自動予防型メンテナンスソリューションへの投資が行われる。IDCがAI支出について調査、分析している全19業種で、2021〜2025年のAI支出の年平均成長率は20%を上回る見通しだ。

2021年におけるAI支出の業種別シェア(出典:IDC

ユースケース別に見たAI市場

 2021年のAI支出が最も多いと予想される2大ユースケースは、「自動顧客サービスエージェント」と「販売プロセスレコメンデーションと自動化」だという。

 2021年における両ユースケースへのAI支出は159億ドルとなり、全体の18%を占める見通しだ。これは、全業種で顧客エクスペリエンスを高める取り組みが活発であることを示すという。

 ただし、AIソリューションの使い方は業種によって異なる。例えば、連邦政府や中央政府機関では、国民が最適な政府サービスを見つける手助けのためにAIソリューションを使用するが、小売業界では、買い物客が追加購入する品目を見つける手助けに力を入れる。

 2021年には、5つのユースケースのAI支出がいずれも、2大ユースケースに次いで多い50億ドル超となる見通しだ。5つの内訳は、「IT最適化」「自動脅威インテリジェンスと防止システム」「プログラムアドバイザーとレコメンデーションシステム」「詐欺分析と調査」「自動予防型メンテナンス」だ。

 IDCがAI支出について調査、分析している全27ユースケースで、2021〜2025年のAI支出の年平均成長率は20%を上回る見通しだ。

 IDCの顧客洞察および分析チームのシニアリサーチマネジャー、マイク・グレノン氏は、次のように指摘している。「多くのAI投資が顧客エクスペリエンスに加えて、効率向上に振り向けられている。IDCは新しいビジネスモデルの開発、強化に重点がシフトすると見ている。新しいビジネスのやり方が生み出されれば、企業が顧客と関わる方法が根本的に変わったり、多くの業種で、新しいプレイヤーの参入が促進されたりするだろう。AIは顧客との関わりや、サプライチェーン、まだ考えられたことがないサービスなど、ビジネスのあらゆる段階にインパクトを与えると予想される」

技術別に見たAI市場

 2021〜2025年の間、ソフトウェアがAIソリューション支出全体の5割以上を占める見通しだ。ソフトウェアの中では、AIアプリケーションの他、AI開発とデプロイソフトウェアへの投資が最も多くなる。

 AI支出の4分の1がサービスに充てられる。ハードウェア支出の大部分はサーバ購入に振り向けられる。

 AIライフサイクルソフトウェア支出は、2021〜2025年の年平均成長率が40.7%と最も高くなる。

地域別に見たAI市場

 米国は2021〜2025年の間、AI支出の5割以上を占める。AI支出のけん引役は小売りと銀行だ。

 西欧はAI支出が2番目に多い。銀行、小売り、組み立て製造業がけん引役となる。

 中国はAI支出が3番目に多い。政府/地方自治体、銀行、組み立て製造業が支出を先導する。

 2021〜2025年のAI支出の年平均成長率が上位の地域は、西欧が26.9%と高く、次いでアジア太平洋(日本、中国を除く)が25.1%となっている。

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