キリンビールとNTTデータは、AIを活用して、ビール類製造の「仕込」「発酵」工程の最適な「仕込・酵母計画」を自動的に立案するシステムを開発した。熟練技術を確実に伝承できるようにすると同時に、年間1000時間以上の時間削減を見込んでいる。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
キリンビールとNTTデータは2021年11月29日、AI(人工知能)を活用して、ビール類製造の「仕込」「発酵」工程で最適な「仕込・酵母計画」を自動的に立案するシステムを開発したと発表した。
キリンビールは「このシステムで仕込・酵母計画に関する熟練技術を確実に伝承する。作業も効率化し、年間1000時間以上の業務時間を削減する予定だ」としている。
キリンビールによると、原材料を仕込み、発酵させる仕込・酵母計画の業務は、熟練者の知見に頼る複雑な作業だという。さまざまな条件を勘案しながら立案するため、作業に時間がかかり、技術の伝承も難しいという課題もあった。
この課題を解決するためキリンビールはNTTデータと共同で各工場の熟練者にヒアリングを実施した。「制約プログラミング」(解決したい問題を「制約」と考え、制約条件を全て満たす答えを探すというプログラミングの考え方)を使い、熟練者の知見を「見える化」してシステムに反映させた。NTTデータは、業務やシステムの要件整理や、制約プログラミングエンジンの開発とチューニングなどを担当した。
同社は以前からAIを使った業務改善を進めており、2019年からは「ろ過計画」の自動化を進めている。今回、仕込・酵母計画を自動化することで、ビール類の醸造計画業務の全行程にAIの導入が完了するという。2021年10月から9つの工場(北海道千歳工場、仙台工場、取手工場、横浜工場、滋賀工場、名古屋工場、神戸工場、岡山工場、福岡工場)で同システムの試験運用を始めており、2022年1月に本格運用を開始する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.