クエリテキストに関する情報を出力する：SQL Server動的管理ビューレファレンス（74）

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、クエリテキストに関する情報の出力について解説します。

[椎名武史，＠IT]

SQL Server動的管理ビュー一覧

　本連載では、「Microsoft SQL Server（以下、SQL Server）」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理関数「sys.dm_exec_sql_text」における、クエリテキストに関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server（サポートされている全てのバージョン）です。

概要

　「sys.dm_exec_requests」では、実行中の要求の一覧を出力できました。処理遅延の原因調査のため「sys.dm_exec_requests」を実行し、「status」列が「Suspended」になっている処理などは確認できても、その処理が実行しているクエリのテキストは確認できませんでした。「sys.dm_exec_sql_text」を実行すると、クエリテキストに関する情報を出力します。

• sys.dm_exec_sql_text（Transact-SQL）

構文と引数

構文　sys.dm_exec_sql_text (sql_handle | plan_handle)

引数名	データ型	説明
sql_handle	varbinary(64)	バッチのトークンを指定
plan_handle	varbinary(64)	クエリプランのトークンを指定

出力内容

列名	データ型	説明
dbid	smallint	データベースのID
objectid	int	オブジェクトのID
number	smallint	ストアドプロシージャの番号
encrypted	bit	暗号化の有無。次のいずれかになる 　「1」＝暗号化されている 　「0」＝暗号化されていない
text	nvarchar（max）	クエリのテキスト

動作例

　幾つかクエリを実行している環境で「sys.dm_exec_requests」と「sys.dm_exec_sql_text」を実行すると、実行中のクエリのクエリテキストに関する情報が出力されました（図1）。

図1　「sys.dm_exec_requests」と結合させてクエリテキストに関する情報を確認できる

　「sys.dm_exec_sql_text」の出力列を分かりやすくするため、「sys.dm_exec_sql_text」の列しか出力していませんが、「sys.dm_exec_requests」の列も出力することで、要求とクエリテキストの両方を確認できます。

　「sys.dm_exec_sql_text」では「sql_handle」と「plan_handle」の両方を引数として渡せますが、どちらを使用するかによって、「dbid」列の表示や出力行が異なる場合があるため注意が必要です。

　「sql_handle」や「plan_handle」を引数として渡せればよいため、別の動的管理ビューと結合したり、「handle」を直接入力したりしても出力できます。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 RTM」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史（しいな たけし）

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform（2017〜）。入社以来 SQL Serverの評価／設計／構築／教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章（いとう としあき）

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価／設計／構築／教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。