「まず経営幹部が作った」、ノーコード開発で1万7000のアプリを生み出したLIXILは、アプリ開発の民主化をどう進めてきたかアプリ乱立の収束も割り切って進める

LIXILは「全従業員が開発者」を目指し、ノーコードアプリ開発ツールの全社展開を進めている。2021年10月に始まったこのプロジェクトで、既に約4000人の従業員が約1万7000のアプリケーションを開発した。

» 2022年06月27日 09時29分 公開
[三木泉@IT]

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 LIXILは2022年6月24日、同社におけるアプリ開発の民主化について説明した。ノーコードアプリケーション開発ツール「Google AppSheet」を使い、これまでに約4000人の従業員が約1万7000の業務アプリケーションを生み出したという。

 Google Cloud主催の説明会で、LIXILの岩崎磨氏(常務役員 デジタル部門 システム開発運用統括部 リーダー)は、ノーコードアプリ開発の推進に関する承認を得る際、経営幹部にアプリを作ってもらったことで、全社展開に勢いをつけられたと話した。

「経営幹部は皆、ノーコードアプリ開発の経験がある」

 ノーコード開発ツールを使ったLIXILにおけるアプリ開発民主化プロジェクトは、2021年4月に始まった。RPAによる定型業務の自動化は以前から進めていたが、それだけではデジタルトランスフォーメーション(DX)につながるといえない。

 一方、デジタル部門には業務の改善や効率化のためのアプリケーション開発のリクエストが多数寄せられていた。このままでは、優先度的に後回しになったり、費用対効果が合わずに却下となったりといったケースが増えるばかりで、デジタル部門が業務部門におけるイノベーションのボトルネックになる。

 それならば、「業務部門はコントロールやガバナンス上、アプリケーションを開発してはならない」という従来の発想を転換し、現場をよく知る人たちが、自身で業務の改善や効率化を実現するアプリケーションを開発できるようにすればいい、というのがノーコードアプリ開発の全社展開の出発点だったという。

LIXILにおける、ノーコード開発全社展開のこれまで

 ツールとしては、 ノーコードアプリ開発ツールとしての使いやすさ、BigQueryなどLIXILのデータ活用基盤との親和性からAppSheetを採用した。

 プロジェクトのメンバーは、まず各業務部門に説明して回り、次に2021年の夏には、全社的な承認を得る活動に移った。この活動の一環として、役員をはじめとした経営幹部を対象に、ワークショップを3回にわたって開催、実際にアプリケーションを作ってもらった。

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