リソースガバナーの構成情報を取得するSQL Server動的管理ビューレファレンス(149)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、リソースガバナーの構成情報を取得する方法について解説します。

» 2022年09月27日 05時00分 公開
[伊東敏章@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_resource_governor_configuration」における、リソースガバナーの構成情報を取得する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL Serverでは、リソースガバナーの機能を使用してワークロードが使用するシステムリソースの消費を管理することができます。

 リソースガバナーでは、アプリケーションからの要求をワークロードグループに割り当てることで、要求が使用できるCPU時間やメモリ量に対して制限を設定したり、ワークロードグループが属するリソースプールに、使用できるCPU時間やメモリ量の割合、I/O要求のスループットの制限を設定したりすることができます。

 「sys.dm_resource_governor_configuration」動的管理ビューでは、リソースガバナーに設定された分類子関数や、適用されていない構成変更が無いかなどのリソースガバナーの構成情報を取得できます。

出力内容

列名 データ型 説明
classifier_function_id int リソースガバナーによって現在使用されている分類子関数のID
関数が使用されていない場合は「0」
is_reconfiguration_pending bit グループまたはプールに対する変更がALTER RESOURCE GOVERNOR再構成ステートメントで行われたが、メモリ内の構成に適用されていないかどうか
「0」=再構成ステートメントは必要ない
「1」=保留中の構成変更を適用するため、再構成ステートメントまたはサーバーの再起動が必要
リソースガバナーが無効になっている場合、返される値は常に「0」
max_outstanding_io_per_volume int ※SQL Server 2014(12.x)以降のみ
ボリュームごとの未処理のI/Oの最大数

動作例

 まずは、リソースガバナーは既定の構成では無効のため、リソースガバナーを有効化する前に「sys.dm_resource_governor_configuration」動的管理ビューを出力してみます(図1)。

図1 図1 リソースガバナーを有効化する前に出力したところ

 リソースガバナーが無効の状態でも情報が出力され、「max_outstanding_io_per_volume」列にも値が出力されていました。

 次に、リソースガバナーを分類子関数の設定も含めて構成変更し、ALTER RESOURCE GOVERNOR RECONFIGUREステートメントの実行前に、「sys.dm_resource_governor_configuration」動的管理ビューを出力しました(図2)。

図2 図2 ALTER RESOURCE GOVERNOR RECONFIGUREステートメントの実行前に出力したところ

 「is_reconfiguration_pending」列の値が「1」になりました。この時点では、分類子関数のIDは変更されないようです。

 ALTER RESOURCE GOVERNOR RECONFIGUREステートメントを実行して構成変更を適用させて、あらためて「sys.dm_resource_governor_configuration」動的管理ビューを出力しました(図3)。分類子関数のIDは、OBJECT_NAMEシステム関数を使用して関数名を出力しました。

図3 図3 ALTER RESOURCE GOVERNOR RECONFIGUREステートメントの実行後に出力したところ

 「is_reconfiguration_pending」列の値が「0」になり、分類子関数のIDも変更されました。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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