グーグル・クラウド・ジャパンが、企業におけるクラウドアプリケーションの内製開発を支援する無償のプログラムを提供開始した。日本独自のサービスで、既にカインズ、くら寿司、三菱自動車、カカクコムなどが利用したという。
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グーグル・クラウド・ジャパンは2022年9月27日、企業におけるクラウドアプリケーション開発の内製化を支援する無償のプログラム、「Tech Acceleration Program(TAP)」を提供開始したことを明らかにした。日本独自のサービスで、既にカインズ、くら寿司、三菱自動車、カカクコムなどが利用したという。
グーグル・クラウド・ジャパンは、日本企業で内製開発が進まない理由として、「内製開発の成功体験がなく組織としてコミットできない」「アジャイル開発の人材が不足している」「内製化をリードする適任者がいない」「どのようなツールを使ったらいいか分からない」といった課題があるとする。新プログラムでは、こうした課題の解決を支援したいという。
TAPでは、利用企業が実際に進めるプロジェクトを題材とする。数日にわたるワークショップで、グーグル・クラウド・ジャパンのカスタマーエンジニアが利用企業の開発者やアーキテクトと議論し、アーキテクチャ設計や開発の作業をサポートする。これにより、内製化への第一歩を踏み出す支援を行う。
プログラムには2種類ある。
3〜5日で行う「ソフトウェアプロトタイピングサポート」は、アプリケーション基盤の意思決定者/テックリードおよび企業の開発者を対象とする。
まずビジネス目的を確認し、アーキテクチャを決める。そしてモブプログラミングでプロトタイプを開発、デプロイして実際に動かすところまでを行うという。全てのプロセスを、グーグル・クラウド・ジャパンのエンジニアが支援する。このワークショップで、手助けはあるものの、自身でプロトタイプを開発し、動かすところまでをやることで、成功体験を味わってもらいたいという。
同社技術部長(インフラ、アプリケーション開発) の安原稔貴氏によると、アーキテクチャ設計では、例えば「マイクロサービス・アーキテクチャには向き・不向きがある。だが、顧客がマイクロサービスでやりたいという場合には、ビジネスドメインの分析に基づき、どういう分割がいいのか議論する」。
この過程で、利用するGoogle Cloudの機能の選択や利用方法も確認できる。ニーズに応じて、有償のトレーニングも組み合わせる。CI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)やSRE(Site Reliability Engineering)など、Google Cloudのサービスに直結しない部分でも、顧客に興味があれば対応するとしている。
もう1つは1、2日で実施する「アーキテクチャ設計サポート」。こちらは既存システムの再設計にも活用できる。現状のビジネス課題やデータ連携フローを確認し、課題解決のための理想のアーキテクチャ図を作成する。また、ワークショップ後の有償・無償の支援についても議論する。
TAPは、Google Cloudサービスの利用料を除いて無料。一企業の利用回数に制限はない。内製化への一歩を踏み出すためのプログラムなので、単一のプロジェクトで複数回活用することは考えにくいが、複数の事業部門が個別に利用することはあり得るという。
ワークショップの実施場所は利用企業、Google Cloudオフィスなど、利用企業と話して決める。グーグル・クラウド・ジャパンでは今回、六本木オフィス内にTAP専用スペースを開設した。
なお、グーグル・クラウド・ジャパンは内製化支援パートナーとして、クラウドエース、クリエーションライン、アイレット、伊藤忠テクノソリューションなどを挙げている。ワークショップ後の支援をこれらパートナーに引き継ぐ、パートナーのエンジニアがワークショップに顧客と共に参加するなど、「三人四脚でやっていく」(安原氏)という。
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