NutanixはHCI(ハイパーコンバージドインフラ)で知られているが、その上でさまざまなサービスを提供している。その中にデータベースサービスがある。その狙いや戦略について、Nutanixのデータベース責任者に聞いた。
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NutanixはHCI(ハイパーコンバージドインフラ)のソフトウェアで知られているが、その上で以前からさまざまなサービスを提供している。その中にデータベースサービスがある。その狙いや戦略について、Nutanixのデータベース責任者、トビアス・ターンストローム(Tobias Ternstrom)氏に聞いた。
ターンストローム氏はMicrosoft Azure、Google Cloud、AWS(Amazon Web Services)でデータベースのプロダクトマネジメントを歴任した後、2021年Nutanixに入社した。Nutanixに移った理由を、同氏は次のように話す。
「長い間クラウド分野で働いてきて実感したのは、パブリッククラウドのデータベースホスティングサービスはホテルの部屋のようなものだということだ。短期間使うのならいいが、安定した負荷で長期間運用する場合はかなり高価になる。このことをずっと考えてきた。Nutanixはさまざまなワークロードをそれぞれ納得できる場所で動かせるように顧客を支援している企業であり、(働くには)完璧な場所だと思った」
「Nutanix Database Service(以下、NDBと表記)」は、現在オンプレミスやコロケーション施設、 AWS(Amazon Web Services)、Microsoft AzureにおけるNutanixプラットフォーム上で利用できるマネージドデータベースサービスで、数年前から提供している。対象データベースはMicrosoft SQL Server、Oracle Database、PostgreSQL、MySQL、MongoDB。
NDBでは、データベースの立ち上げ、スケーリング、パッチ当て、バックアップ、ディザスタリカバリなど、データベースに関する管理作業が自動化できる。全てリモートでWeb管理コンソールから実施でき、世界中にまたがる多数のデータベースの一括運用が可能。また、API経由でデータベースを立ち上げるなどもできる。
NDBのようなサービスの重要性が高まっている背景には、一組織が運用するデータベースインスタンスの数が、2つの理由によって急速に増えていることがあるという。
「第1に、マネージドデータベースのおかげでデータベースがワンクリックで立ち上げられるようになり、1アプリケーションで複数種のデータベースを使うようになった。全社レベルでも、以前はOracle DatabaseやSQL Serverなど、1種のデータベースに標準化していたが、今では開発者がデータベースを選ぶようになった。オープンソースのデータベースの利用も広がっている。第2にアプリケーションのマイクロサービス化で、データベースインタンスが増える傾向がさらに高まっている」
これによって、企業は複数種類、複数バージョンのデータベースをさまざまな場所で多数運用しなければならなくなっている。これが開発者とデータベース管理者(DBA)にとって重荷になっているとターンストローム氏は続ける。
「開発者はワンクリックでデータベースを立ち上げたい。CI/CDパイプライン上で全てを自動化したい。全開発者がデータベースに詳しいわけではないということも重要だ。一方、DBAの仕事の改善も必要だ。2万といった数のデータベースを全て管理するのではなく、最も重要な5〜10のデータベースに集中できなければならない」
こうした問題を解決するのがNDBだという。
それにしても、あらためてNutanixはなぜデータベースサービスを提供しているのか。
「企業はパブリッククラウドを使うようになったが、一般的に使われるサービスは少数だ。仮想マシン、コンテナ、ローカルストレージ、オブジェクトストレージ、IAM(アイデンティティ&アクセス管理)、そしてデータベース。Nutanixはこれら全てを提供している。当社が目標としているのは柔軟性の提供だ。遅延やコスト、コンプライアンスなどの理由から、パブリッククラウドに移行してもデータセンターやコロケーション施設、エッジサーバの戦略的な活用を図る企業は多い。当社はさまざまな場所において単一のAPI、SLA(Service Level Agreement)、サポートの下で使えるクラウドサービスを提供していく」(ターンストローム氏)
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