ノークリサーチは、中堅中小企業を対象に実施した「守りのIT対策」に関する調査結果を発表した。それによると、「今後、地場の販社やSIer(システムインテグレーター)からの製品、サービス導入を減らす」と回答した企業では人材不足の他、アカウント管理や障害対策などの課題を抱えていることが分かった。
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ノークリサーチは2022年12月22日、「守りのIT対策」に関する調査結果を発表した。調査は年商500億円未満の企業(ノークリサーチは「中堅中小企業」と定義)を対象に実施し、1700社から回答を得た。なお、ここでいう“守りのIT対策”とはセキュリティ、運用管理、バックアップに関する対策を指す。
守りのIT対策に関する課題のうち、自社の体制/人員に関する項目を見ると、「守りのIT対策を担う社内人材が不足している」と回答した企業の割合が35.1%(複数回答、以下同)で最も高かった。次いで、「従業員の守りのIT対策に対する意識が低い」が27.3%、「ランサムウェア被害に遭う危険性がある」が22.2%、「シャドーITを把握/制御できない」が9.8%だった。
守りのIT対策に関する各課題について、企業が許容できる年額合計費用(対策に支払うことのできる費用の合計額。セキュリティ/運用管理/バックアップに該当するもののみ集計し、ハードウェアやOS、ファームウェアといったインフラは除く)を集計すると、サーバやストレージに関する項目では「アクセス/処理が増加したときの対策が不十分である」を課題とした企業(が許容できる費用)は542.8万円。「障害や故障に備えた監視/予防が不十分である」を挙げた企業は462.7万円。「バックアップデータをサーバに復元できる確証がない」は344.8万円だった。
ノークリサーチはこの結果を基に「障害や故障だけでなく、アクセス増加に伴う処理遅延を課題と考える企業ではIT活用の重要度が高い」と指摘。「守りのIT対策を訴求するSIerの視点で分析すると、ユーザー企業の単価を向上させたいのであれば『自社でeコマースサイトを運営している』『メール配信による販促を重視している』など、本業の売り上げに直結する業務システムを運用しているかどうかが、訴求対象を選定する際の判断基準の一つになる」と述べている。
今後、製品やサービスの導入を増やす(もしくは減らす)分野のベンダーについて聞くと、どの分野もおおむね「増やす予定」と回答した企業が多かった。中でも「セキュリティ主体のベンダー」については「増やす予定」と回答した企業の割合が「減らす予定」と回答した企業の割合よりも6.4ポイント高かった。それに対して「外資系の大手ハードウェアベンダー」「地場の(地域に密着した)販社/SIer」については「減らす予定」の方が「増やす予定」を上回っており、地場の販社/SIerでいえば(増やす予定と減らす予定の)差は3.5ポイントだった。
「地場の販社/SIerを減らす」と回答した企業について、各課題をクロス集計すると、全体平均に比べて「守りのIT対策を担う人材の不足」「従業員の意識が低い」「アカウント管理が煩雑」「障害や故障への備えが不十分」「IT以外の対策が不足」といった課題を抱えている企業が多かった。
こうした点からノークリサーチは「地場の販社やSIerが今後もユーザー企業の守りのIT対策を支える身近な存在であり続けるためには、アカウント管理、障害や故障の備え、IT以外の設備対策といった領域にも支援策を広げていくことが重要だ」と指摘している。
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