アクセンチュアは、調査レポート「解き放たれる価値:相互運用性が抜本的な成長をもたらす」を発表した。それによると「相互運用性」が高い企業は、低い企業と比べて6倍速く収益成長することが分かった。
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アクセンチュアは2023年2月2日、調査レポート「Value Untangled:Accelerating radical growth through interoperability(解き放たれる価値:相互運用性が抜本的な成長をもたらす)」を発表した。この調査は、日本を含む23カ国で、19業種の企業の経営幹部を対象に実施し、4053人から有効回答を得た。なお、ここでいう相互運用性とは「アプリケーション間でさまざまなデータを円滑にやりとりする度合い」のこと。
調査結果によると、相互運用性が高い企業は低い企業と比べて収益成長が6倍速かった。また「サプライチェーンやオペレーションの改善度合い」「顧客体験の創造度合い」「従業員の生産性向上」など、価値創出を支えるさまざまな領域で優位性があることが分かった。
アクセンチュアのEmma McGuigan氏(エンタープライズ&インダストリーテクノロジー部門統括 シニア・マネジング・ディレクター)は「調査対象となった企業の3分の1が、『全社規模の俊敏性』を獲得するために相互運用性を活用しており、企業全体の改革を促すことで競合他社を上回る収益成長率や生産効率、レジリエンスを獲得している」と述べている。
調査結果によると、相互運用性の高い企業は、アプリケーションに対するIT関連予算をわずか2〜4ポイント増やすだけで収益成長率が上がっていた。アクセンチュアは「相互運用性を高めることはビジネス戦略と技術戦略の中心となりつつある」としている。
企業が相互運用性を高めるために必要な取り組みとしてアクセンチュアは以下の3つを提言している。
相互運用性の向上に成功している企業は、既存アプリケーションをクラウドに移行し、クラウドベースの新たなエンタープライズアプリケーションに投資しているという。調査結果によると、相互運用性が高い企業の72%が自社のデータやワークロードの一部(30%)をパブリッククラウドに移行していた。これに対して相互運用性が低い企業では、パブリッククラウドを使用している割合が60%にとどまっていた。
コンポーザブルテクノロジーとは、変化するビジネスニーズに合わせてコンポーネントの組み換えや再構築を迅速で反復的に実施できる仕組みのこと。実際のシステムで例えると、既存のアプリケーションを機能単位のコンポーネントに分割し、相互運用できるアプリケーションに切り替えるといった作業になる。コンポーザブルテクノロジーを導入することで「企業の根幹に柔軟性を装備できる」とアクセンチュアは述べている。
企業としての相互運用性を高めるためには「アプリケーションを刷新するだけでなく、従業員が共通の目標に向かってコラボレーションすることが重要だ」とアクセンチュアは指摘している。リアルタイムデータやアナリティクス、AI(人工知能)などを活用して新たな働き方を促進することで、従業員の能力を向上させられるという。
アクセンチュアは「コラボレーションを加速させるためには、経営幹部が主導して相互運用性の高い新たなアプリケーションに関するさまざまなユースケースを作成し、部門の垣根を越えて従業員が一丸となって課題解決に取り組むことが重要だ」としている。
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