OpenSSFは、「Supply-chain Levels for Software Artifacts」(SLSA)のVersion 1.0を公開した。
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Open Source Security Foundation(OpenSSF)は2023年4月19日(米国時間)、「Supply-chain Levels for Software Artifacts」(SLSA)のVersion 1.0を公開した。
SLSA(「サルサ」と発音)は、ソフトウェアサプライチェーンのセキュリティに関する仕様を提供するOpenSSFのプロジェクト。これらの仕様は、関連コミュニティーの専門家の合意によって確立されており、段階的に導入できる。OpenSSFは、オープンソースソフトウェア(OSS)を通じたイノベーション促進を目指す非営利組織Linux Foundationのプロジェクトであり、オープンソースエコシステムの安全性向上に取り組んでいる。
ソフトウェアの構築および配布プロセスの弱点を突いて、このプロセスを妨害するソフトウェアサプライチェーン攻撃は、常に存在する脅威だが、「SLSAは、ソースコードやビルドシステムの改ざんを防止するフレームワークを提供する」と、OpenSSFは説明している。
「SLSAで規定される仕様は、ソフトウェアの生産者と消費者の両方にとって有益だ。生産者はSLSAのガイドラインに従って、ソフトウェアサプライチェーンの安全性を高めることができ、消費者はSLSAを用いて、ソフトウェアパッケージを信頼するかどうかを判断できる」(OpenSSF)
SLSAは以下を提供する。
SLSAのフレームワークは、セキュリティの厳格さを示す一連のレベルに整理されており、SLSAがv1.0に到達する際に、各レベルの要件が複数のトラックに分割されるようになった。これらのトラックはそれぞれ、ビルド、ソース、依存関係など、ソフトウェアサプライチェーンの1つの領域に焦点を当てている。こうしたトラック分割により、SLSAはより導入しやすくなったと、OpenSSFは説明している。
SLSA v1.0はビルドトラックから始まっている。ビルドトラックでは、ソフトウェアデリバリーライフサイクルの他の重要な側面に対応するようにフレームワークを拡張するための基盤が確立される。
OpenSSFは、ソフトウェア生産者、ソフトウェア消費者、インフラプロバイダーのそれぞれの観点から、SLSAを採用する利点を次のように説明している。
SLSAは、ソフトウェア消費者へのサプライチェーンにおける改ざんを防止し、インサイダーリスクを低減するとともに、作成したソフトウェアが意図した通りに消費者に届くという信頼性を高める。また、SLSAはオープンソースプロジェクトやエコシステムに関しては、作成したリリースのソースコードや依存関係が改ざんされていないことを証明するフレームワークを提供する。多くのオープンソースプロジェクトはボランティアで運営されているため、既存プロジェクトにSLSAを簡単に追加するためのツールが用意されている。
SLSAは、消費者がソフトウェアのセキュリティ対策を評価したり、入手したものが期待通りであることを確認したりするための方法を提供する。
生産者と消費者を橋渡しするインフラプロバイダーがSLSAを採用することで、両者間のソフトウェアサプライチェーンの安全性を高める。
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