Google、AI活用の洪水予測プラットフォームを拡大 洪水発生の7日前に警告できる仕組みは?洪水発生7日前から警告

Googleは、2022年11月に提供を開始したAI活用の洪水予測プラットフォーム「Flood Hub」を世界80カ国に拡大すると発表した。洪水のリスクにさらされる4億6000万人の人々に、洪水発生の7日前から早期予測を提供する。

» 2023年06月06日 10時00分 公開
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 Googleは2023年5月22日(米国時間)、自然災害への取り組みの一環として、AI(人工知能)を活用した「Flood Hub」を世界80カ国に拡大することを発表した。アジア太平洋地域、ヨーロッパ、アフリカ、中南米など、60の地域を追加することで、Flood Hubプラットフォームは人口の多くが洪水リスクにさらされる地域をカバーし、過酷な天候を強いられる可能性のある世界4億6000万の人々を支援する。

 洪水は自然災害の中でも気候変動の影響で、規模が拡大するとともに発生頻度も増加している。人々の安全と生活に脅威をもたらす洪水は、世界中で年間2億5000万人以上の人々が影響を受けており、経済的な被害は約100億ドルにも上ると推定されている。

 Flood Hubは、2022年11月にGoogleが提供を開始したプラットフォームだ。地域に対応した洪水データや洪水予測が入手でき、行政や支援団体、また個人が活用することで、河川の氾濫に備えられる。2022年の段階では、最大で48時間後の洪水を予測していたが、2023年5月に予測期間の範囲が7日間に拡大した。これにより、洪水の発生をより早い段階で知り、対策できるようになった。

Flood Hubの画面(提供:Google) Flood Hubの画面(提供:Google)

 Flood HubのAIは、天気予報や衛星画像などさまざまな公開データソースを使用し、流水量モデルと浸水モデルの2つを組み合わせている。流水量モデルは川の流水量を予測し、浸水モデルはさまざまな地域や気候帯で、洪水リスクがどのように変化するかを分析し、予測する。

 Googleは人々が最も必要とする時にこの情報を利用できるように、検索やマップで洪水予測のアラートを周知させる取り組みを行っている。

コミュニティーと連携した活動も展開

 Googleが洪水予測を開始したのは2018年のことだ。インドで毎年のように発生する洪水からの壊滅的な被害を軽減するために、AIを活用した予測が始まり、間もなくバングラデシュにも地域を広げた。グローバルなAIと機械学習の予測モデルの進化を背景に、2022年11月にはインド、バングラデシュを含めた世界20カ国で技術展開が可能になった。この実践が世界規模での展開につながっている。

 Flood HubはGoogleのCrisis Response(危機対応)として、人々が非常時に信頼できる情報やリソースにアクセスできるようにする取り組みの一環だ。Crisis Responseには洪水だけでなく、山火事や台風、地震なども含まれる。Googleでは10年以上にわたって、現場の救援活動や緊急対応に携わる人々と協力し、人々の安全と情報提供、危険からの避難を支援する技術とプログラムを開発してきた。

 洪水の被害を受けやすいが、スマートフォンやインターネットにアクセスできない地域を支援するため、Google.orgとして国際赤十字・赤新月社連盟やインド赤十字社、イェール大学のインクルージョン経済学チームなどの組織と協力し、活動を展開している。イェール大学のチームは信頼できるボランティアコミュニティーによるオフライン警告ネットワークを立ち上げた。イェール大学と地元の非営利団体Yuganterの調査によれば、地域のボランティアがいるコミュニティーは、洪水が到達する前に警報を受け取る可能性が50%高くなることも分かった。

 Googleは今後もAIベースの洪水予測のためのグローバルモデルをさらに改善する一方で、気候変動の影響を軽減するための技術をリスクのあるコミュニティーに提供し続けることを目指している。

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