Microsoftは、「Azure OpenAI Service」で独自のデータを使用できる新機能「Azure OpenAI Service On Your Data」の一般提供を開始した。
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Microsoftは2024年2月20日(米国時間)、「Azure OpenAI Service」の新機能「Azure OpenAI Service On Your Data」の一般提供を開始したと発表した。
この新機能では、GPT-4のようなOpenAIのAI(人工知能)モデル(以下、OpenAIモデル)に企業データを接続し、取り込み、グラウンディングして(※)、パーソナライズされた生成AIサービスを迅速に作成することなどが可能だ。企業は構築したサービスを、ユーザーの理解度の向上、タスク処理の迅速化、業務効率の向上、意思決定の支援などに利用できる。
※AIモデルが質問への回答に使用するソースとして、ユーザーが特定のデータを指定することを指す。
Microsoftは、自社のデータ上でOpenAIモデルを直接実行することで、モデルの大規模なトレーニングが不要になる他、エンタープライズグレードのセキュリティを確保しながら、チャットなどの会話を通じて高度なAI機能を活用して、コミュニケーションを効率化したり、顧客サービスを強化したり、組織全体の生産性を高めたりできると述べている。
Microsoftは、Azure OpenAI Service On Your Dataによって独自データを活用したAIサービスのユースケースとして、以下のような例を挙げている。
よくある質問に迅速に回答し、顧客のデータに基づいて一般的なトラブルシューティング手順を案内する。
製品仕様に関するリアルタイムサポートを提供し、製品マニュアルに基づく一般的なトラブルシューティング手順を案内する。
公共サービスに関するよくある質問に迅速に回答し、市民サービスやサポートにおいて、特定の手順や手続きを案内する。
特定のカリキュラムに基づき、学術的な概念の理解や新しいスキルの習得を支援する説明や例を提供する。
法律から素早く洞察を得て、適切なアドバイスを提供する。
社内外のリソースを活用し、社内外のマーケティングに関する問い合わせに対応する。
顧客のニーズに基づいてサンプルコードを作成する。
顧客の人事ポリシーに基づき、人事に関するよくある質問に迅速に回答する。
一般に公開されているリソースを活用し、業界や競合他社に関する洞察を得る。
症状、応急処置、健康的な生活に関する一般的な情報を提供する。
顧客の履歴データに基づいて、予知保全と顧客サポートを提供する。
Azure OpenAI Service On Your Dataには、REST API、SDK、「Azure OpenAI Studio」のWebベースインタフェースを用いてアクセスできる。データに接続して拡張チャットソリューションを実現するWebアプリケーションを作成したり、Copilot Studio(プレビュー)で拡張チャットソリューションを独自のコパイロットとして直接展開(デプロイ)したりすることもできる。
Azure OpenAI Service On Your Dataで利用可能なOpenAIモデルは、「OpenAI GPT-35-Turbo」「GPT-35-Turbo-16k」「GPT-4」「GPT-4-32k」だ。サポートされるファイルタイプは、.txt、.pdf、.docx、.pptx、.md、.htmlとなっている。
データソースとしては、「Azure AI Search」と「Azure Cosmos DB for MongoDB vCore」のデータに接続できる他、プレビュー段階のAzureサービス(「Azure Blob Storage」など)、ローカルファイル、URL/Webアドレスなどのデータソースも利用できる。
エンタープライズグレードのセキュリティ確保のために、Azure AI Search、Azure OpenAI、Azure Blob Storage(プレビュー)でプライベートエンドポイントとVPNを有効にして、Azure OpenAI StudioとAPIの両方でプライベートなAzureリソースにアクセスできる。ドキュメントレベルのアクセス制御により、ユーザーがアクセスできるドキュメントに基づいて応答を生成できる。
さらに、インテリジェントな情報検索のために、RAG(検索拡張生成)モデルの高度な機能を活用することで、情報検索の質と関連性を高め、会話体験においてより文脈に合った的確な応答を可能にしている。
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