Microsoftは「Windows Community Toolkit v8.1」を発表した。「Windows App SDK 1.5」との互換性を確保することで、間接的に.NET 8をサポートできるようになった。
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2024年8月22日(米国時間)、Microsoftは「Windows Community Toolkit」のバージョン8.1をリリースしたと発表した。同社は「開発者コミュニティーのサポートと貢献によって実現した、さまざまな新機能と改善がこのマイナーアップデートには含まれている」としている。
バージョン8.1の変更点、新機能、改善点は以下の通り。
Toolkitの依存関係が最新の「Windows App SDK 1.5」と「Uno Platform 5.2」に更新された。これによって「.NET 8」のサポートに必要な修正と更新、Toolkit内の他の問題に対処するという。
Toolkitを使用する際は、Windowsバージョンを従来の“18362”ではなく“22621”にする必要がある。つまり、これまで「net6.0-windows10.0.18362」をターゲットにしていた場合は「net6.0-windows10.0.22621」に変更しなければならない。
なお、最小のターゲットバージョンは“17763”のままなので、下位バージョンでの実行能力には影響しない。
Windows Community Toolkitのバージョン7(7.x)以下の古いNuGetパッケージが、8.1に対応する最も近いパッケージにリダイレクトするように更新された。このリダイレクトは、Windows Community Toolkitの最新版を使用したい開発者に、新しいパッケージ名について認識してもらいやすくなるという。古いプロジェクトでは、「Visual Studio」内でこれらの通知が表示されるはずだ。
「ColorPicker」と「ColorPickerButton」は8.1で復活し、新しいルック&フィール(外観と操作性)、最適化されたUX(ユーザーエクスペリエンス)にアップグレードされた。
「TabbedCommandBar」が8.1に移植された。Microsoftは「モダンなルック&フィールを採用したため、他のWinUIコントロールとうまく調和する」としている。
Windows Community Toolkitは「Windows App SDK 1.5」で.NET 8をサポートするようになった。アプリケーションプロジェクトを初めて.NET 8に更新する場合は、「csproj」内の「RuntimeIdentifier」を更新する必要がある。
Windows App SDKでCamera Helpersが動作するように修正された。
「ImageCropper」コントロールのオーバーレイとして使用するブラシを指定できるようになった。これによって、ライブプレビュー中に切り抜き(トリミング)形状や後処理で追加されるその他の装飾を表示可能になった。
「DockPanel」は、他のモダンなパネルと同様のオプションを提供するために、要素間の「HorizontalSpacing」(水平方向の間隔)と「VerticalSpacing」(垂直方向の間隔)の両方をサポートするようになった。
Microsoftは、今回のプルリクエスト(Windows Community Toolkit 8.1に関するプルリクエスト)で、「ネイティブAOT(Ahead-of-Time)」コンパイルのサポートに向けた初期段階の作業を開始した。同社は今後リリース予定の「WindowsAppSDK 1.6」のサポートテストも継続するという。
MicrosoftはWindows Community Toolkitの新機能やコンポーネントを開発する場として、「Windows Community Toolkit Labs」を設けている。Labsは8.1リリース前から存在していたが、今回、改めてその存在と重要性が強調された形だ。開発から製品に至るまでのプロセスをカプセル化することを目的としており、より広い開発者層にリリースする前に、コミュニティーからどのような関心や反応が得られるか理解する点でも役立つ。
従来のMarkdownTextBlockコンポーネントを再構築したもので、2024年8月現在はMarkdigパーサーの上に構築されている。
「Markdigライブラリのおかげで、より良いパーシングと互換性を提供しているが、オリジナルのコントロールのカスタマイズオプションの一部が欠けている。私たちはこの新しいコンポーネントをサンプルアプリに採用し、その能力をさらにテストして伸ばしていきたい」とMicrosoftは述べている。
「Microsoft Office」で利用されているような、一般的なRibbonパターンの初期バージョンとなる。2024年8月現在の仕様では、折りたたみ可能なセクションにコマンドをグループ化し、個別およびグループのキーボードショートカットを提供している。
「SelectorBar」と組み合わせることで、より強固な「WPF」(Windows Presentation Foundation)スタイルのリボンのような体験を提供できる。
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