西武ライオンズが進める、来季復活を賭けた野球のインテリジェント化とは西武ライオンズのデータ野球への取り組み(1)(1/2 ページ)

西武ライオンズが、トラッキングシステムなどのデータを活用した野球のインテリジェント化への取り組みを急ピッチで進めている。2025年シーズンの初めには、本格運用を開始するという。その中身とは。

» 2024年10月16日 05時00分 公開
[三木泉, 宮田健@IT]

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 2024年シーズンは残念な結果に終わった埼玉西武ライオンズ。だが、舞台裏では「データ野球」に向けた取り組みが進んでいる。既にテスト運用を始めており、来季からはまず編成面で、球団運営への貢献ができるようになるという。

 この取り組みを主導しているのは、2024年に新設されたばかりのデータ戦略室。横浜DeNAベイスターズや韓国のロッテ・ジャイアンツでのデータ分析経験がある西秀幸氏がチーフに就任し、データ活用のプラットフォーム作りを進めている。まだメンバーは2人。

データ戦略室チーフの西秀幸氏とラプソード

 西武ライオンズには以前から、何らかの形でデータ分析を行う人々が存在している。しかし、それぞれの業務に必要なデータを取得・利用し、別個に活用してきた経緯がある。部署を超えてデータが共有されることは少なかった。

 西氏たちは約半年で、選手関連の多様なデータをまとめ上げる共通データ基盤を構築した。共通データを元に分析・可視化ができる仕組みの整備により、球団内のさまざまな立場の人たちが業務に合わせて活用できるようになる。スコアラー、アナリスト、データサイエンティスト、バイオメカニクスなどのスタッフだけでなく、フロント、コーチ、監督などが選手の評価や編成、育成、戦術のために使える。もちろん、選手自身も自らのパフォーマンスを確認し、改善に生かせる。

「野球のインテリジェント化」の出発点とは

 プロ野球界では近年、各種のトラッキングシステムで取得したデータが利用されてきた。得られる情報はシステムによって異なるが、例えば投球では軌道から回転数、回転方向、縦・横の変化量などのデータが得られる。打球では速度、角度、方向、回転数、回転速度、スイングのタイミングや角度などが分かる。

 日本のプロ野球球団の間では、まずレーダーで球を追尾する「トラックマン」が広がった。近年ではビデオを撮影して数値化を行う「ホークアイ」の導入が進みつつある。西武ライオンズは、トラックマンに続いて2024年にホークアイを導入した。

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