ChatGPTに新しいエディタUI「Canvas」追加 従来のチャットUIにおける文章執筆／コーディング時の限界をどう突破した？：無料ユーザーにも提供予定、ショートカットで便利機能も

OpenAIは同社のChatGPTに「Canvas」と呼ばれる新しいユーザーインタフェースを追加したと発表した。Canvasを使用することで、ChatGPTはユーザーが達成しようとしていることの文脈を、よりよく理解できるようになるという。

[＠IT]

　OpenAIは2024年10月3日（米国時間）、同社の「ChatGPT」に新しいUI（ユーザーインタフェース）「Canvas」を追加したと発表した。

　初期β版として提供されるCanvasは、ChatGPTの有料プラン「Plus」「Team」「Enterprise」「Education」のユーザーが利用できる。Canvasを利用するには、ChatGPTのモデル選択画面にて手動で選択する必要がある。β期間終了後、「Free」（無料）プランのユーザーにもCanvasが提供されるという。

従来のチャットUIにおける、文章執筆／コーディング時の限界とは？

　OpenAIはCanvasを開発、追加した背景について「チャットインタフェースは使いやすく、多くのタスクでうまく機能する一方、ライティング（文章執筆）やコーディングといった編集や修正が必要なプロジェクトに取り組む場合は限界があった。Canvasはこのような作業のために構築されており、Canvasはこうした作業のための新たなインタフェースになる」と述べている。

　OpenAIによると、Canvasを使用することで、ChatGPTはユーザーが達成しようとしていることの文脈を、よりよく理解できるようになるという。特定の箇所をハイライトすることで、焦点を当ててほしい部分を正確に指示することも可能になる他、プロジェクト全体を考慮しながら、インラインでのフィードバックや提案もできるようになるとしている。

左側にチャット、右側にエディタが表示される、Canvas使用時のUI（提供：OpenAI）

　Canvasのエディタでは、ChatGPTが生成したテキストやコードを直接編集でき、ライティングの長さを調整したり、コードをデバッグしたりできる。その他のアクションを素早く実行するためのショートカットメニューも用意されている。また、Canvasの「戻る」ボタンを使用して、以前のバージョンを復元することもできる。

　Canvasの機能には「GPT-4o」が使われている。ChatGPTは、Canvasが役に立つと判断したシナリオを独自に判断し、自動でCanvasを開く。プロンプトに“use canvas（「Canvasを使用して」）”を含めることで、Canvasを開かせて、既存のプロジェクトで利用することもできる。

ライティング、コーディングごとに5つのショートカットが利用可能に

　ライティング向けには、次のショートカットが追加されている。

• 編集の提案：ChatGPTがインラインで提案やフィードバックを提供する
• 長さの調整：ドキュメントの長さを短くしたり長くしたりする
• 読解レベルの変更：読み手のレベルを幼稚園から大学院まで調整する
• 最終調整の追加：文法、明確さ、一貫性をチェックする
• 絵文字の追加：強調と色付けのために関連する絵文字を追加する

ライティングにおけるCanvasの利用イメージ（OpenAIの動画より）

　コーディング向けには、次のショートカットが追加されている。

• コードのレビュー：ChatGPTがインラインで提案を行い、コードを改善する
• ログの追加：デバッグやコードの理解を助けるためにprint文を挿入する
• コメントの追加：コードをより理解しやすくするためにコメントを追加する
• バグの修正：問題のあるコードを検出し、エラーを解消するために書き換える
• 言語の変換：コードをJavaScript、TypeScript、Python、Java、C++、PHPに変換する

ChatGPTで生成されたコードの特定箇所をハイライトして、関連するコードの生成を指示できる（OpenAIの動画より）

　OpenAIは「GPT-4oでCanvasを提供するために『OpenAI o1-preview』モデルを活用して合成データを生成し、モデルの動作に関する追加のトレーニングを実施した。このアプローチにより、人間が生成したデータに依存せずに、GPT-4oはいつCanvasを開くべきか、どこにターゲットを絞って編集すべきか、完全に書き直すべきかを判断したり、コンテキストの理解に基づいて的確なフィードバックや提案を提供したりできるようになった」と述べている。