Appleは、「Apple Intelligence」のAI処理専用に設計された「Private Cloud Compute」の分析を支援するため、主要コンポーネントのソースコードや仮想研究環境を公開した。PCCは同社のセキュリティ報奨金プログラムの対象にも追加され、脆弱性の発見に最大100万ドルの報奨金を支払うとしている。
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Appleは2024年10月24日(米国時間)、同社の生成AI(人工知能)システム「Apple Intelligence」の処理専用に設計したクラウドシステム「Private Cloud Compute」(以後、PCC)のソースコードや仮想研究環境(VRE)を公開した。
Appleは「PCCはApple Inteligenceにおいて、計算負荷の高い処理を実行する基盤であり、Appleデバイスのセキュリティモデルをクラウドに展開することで、画期的なプライバシーとセキュリティ保護を実現している。システムへの信頼性や透明度を向上させるため、Appleのセキュリティやプライバシーへの取り組みを検証できる一連のリソースを公開した。全てのセキュリティおよびプライバシー研究者、技術的関心のある人々が、PCCを理解し、独自に検証することを歓迎する」と述べている。
PCCのVREは、macOS上でPCCノードを実行して分析ができるツールセットだ。macOSの仮想マシン(VM)上で実際の環境とほとんど同じPCCノードを実行できる他、「Secure Enclave Processor(SEP)」に組み込まれたセキュリティサブシステム「Secure Enclave」も検証できるという。Appleは、VREの利用イメージとして次のような例を挙げている。
VREは「macOS Sequoia 15.1 Developer Preview」に含まれている。VREを使用するには、ArmベースのAppleシリコンを搭載し、16GB以上の統合メモリを備えたMacが必要だ。
Appleは、PCCの詳細分析を支援するため、限定使用ライセンスの下で、主要コンポーネントのソースコードをGitHubで公開した。ソースコードが公開された主要コンポーネントとそれぞれの役割は以下の通りだ。
Appleは、PCCに対するセキュリティ研究を促進するため、同社のセキュリティ報奨金プログラムの対象にPCCを追加した。脆弱(ぜいじゃく)性の種類や脅威度に応じて、5万〜100万ドルの報奨金を支払うという。報奨金の例は以下の通り。
「これらに該当しない場合でも、PCCに重大な影響を与えるセキュリティの問題は、報奨金の対象として検討する。全ての報告は、提示された内容の質、悪用可能な証拠、そしてユーザーへの影響に基づいて評価される」と、Appleは述べている。
その他、PCCのコンポーネントに関する包括的な技術的詳細や、PCCにおけるリクエストの認証、ルーティング、さまざまな攻撃シナリオにおける対策をまとめた「PCCセキュリティガイド」も公開している。
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